侍ジャパンの山本浩二監督(66)ら首脳陣が「赤パン」をはいて一致団結し、WBC本番へ突入することが27日、判明した。広島時代から愛着のある赤の下着を装着することを公言していたが、コーチ陣へ配布していたことが分かった。指揮官の思いをくんだ複数のコーチが既に愛用。この日、3月2日開幕の1次ラウンドが開催される福岡に入り全体練習を行った。大会3連覇へ本気モード全開の下半身で挑む。

 ユニホームのズボンの下に、日の丸にかける情熱が潜んでいた。山本監督が人知れず、信頼する腹心たちへ決意のパンツを配布していた。事前の決意通り、3大会連続世界一のために「ミスター赤ヘル」から「ミスター赤パン」へと変身。WBC1次ラウンドの決戦の舞台となるヤフオクドームでの練習。「気持ちはいつもと変わりませんよ」と平常心を強調したが、ひそかに下半身は高ぶっていた。

 有言実行だった。1月のイベントの際に「赤いパンツくらい、はきますか」と宣言していた。前回大会で、今回も同行する高代コーチが赤を基調としたスパイダーマン柄のパンツをはいて優勝したという「パンツ神話」も知った。これで乗り気になっていたのは事実だが、本当に実行に移していた。コーチ陣とは赤パンで結束を図っているという。

 絶大な信頼を寄せている参謀のバックアップもあり、戦闘態勢が整った。最初に配布した際には、すべて183センチと大柄な山本監督に合わせて製作されていた。もちろん、フィットしないコーチが多数。見かねた東尾投手総合コーチが好判断で、状況の打開を図った。監督の代行でサイズ直しを依頼して、各自の体格にマッチした「赤パン」を仕立て直したという。首脳陣が全員一丸で臨める、心のよりどころとなる勝負アイテム。完成までの苦節の道のりも、その尊さに拍車をかけている。

 打線の歯車がかみ合わないままだが、今日28日の巨人との強化試合が最後の実戦調整になる。この日はフリー打撃前にミーティングを行い、少年野球のように打者の基本の「センター返し」を徹底するように説いた。山本監督は「気持ちの面だけでもコンパクトに、と。気持ちも変わってくるでしょう」と大振りが目立った野手陣に制約をつけ、クギを刺した。首脳陣の「赤パン」だけではなく、用意周到に選手の意識も1つへと変えた。情熱の赤のパンツにも、すがりたいほど上り詰めたい世界の頂点へ-。山本監督が奮い立つ下半身で、歩んで行く。【高山通史】