<WBC:日本4-3台湾>◇8日◇2次ラウンド1組◇1回戦◇東京ドーム
死闘の末に中田が決めた!
3-3の同点で迎えた延長10回表1死二、三塁。野手最年少、中田翔外野手(23)が左翼へ犠飛を放ち、決勝点を挙げた。序盤から台湾にリードを許し、8回表に2-2の同点とするも、その裏再びリードを奪われた。しかし9回表に井端の適時打で追い付く、まさに死闘だった。侍ジャパンの名にふさわしい粘りで、3大会連続の決勝ラウンド出場に王手をかけた。明日10日、強力で快進撃を続けるオランダと対戦する。
こんなに気持ちいいアウトはない。同点の延長10回1死二、三塁。2ボールからの3球目。内角低めにシュート回転する速球を、中田は魂込めて振り抜いた。高く上がった打球が、左翼・日本ハム陽岱鋼のグラブに収まると、若き侍は、両手を突き上げた。勝ち越し犠飛だ。ついに、ついに、日本が1点を勝ち越した。
延長10回裏、最後の守備。決勝犠飛の落下点でもある左翼に向かう中田は、ファンに向かって右拳を突き上げた。4万を超える観衆も一体となって、雄たけびも興奮も共有した。
ヒーローインタビューは日付の変わる約10分前。お立ち台の中田は、感謝の言葉を繰り返した。最年少の謙虚な言葉に、球場のボルテージはさらに高まった。
中田
みなさんの声援のおかげです。最後、気持ちで犠牲フライを打ちました。それまで、すごくチャンスをつぶしていて、申し訳ない思いでした。それでもチャンスを回してくれる先輩方がいる。何とか、貢献しようと思ってました。うれしいの一言です。最高でした!
指揮官の窮地を救う犠飛だった。山本監督は、先発能見の交代機も含め、継投ミスを認めた。潔く「結果的に遅れたのもある。もし負けていれば、何を言われていたか分からない」と明かした。それだけに「すごいゲームを勝てて良かった」と死闘を制したことを、心の底から喜んだ。
まさに「すごい試合」だった。何しろ、リードされっぱなし。7回まで無得点。苦戦の原因は先発・王建民を攻略できなかったこと。「低めは捨て、高めは頭の高さでも打て」が合言葉だった。だが、他のナイン同様、中田も実践できなかった。
劇的ドラマの起点でも、中田は痛恨の凡打を演じた。8回だ。2点を奪ってなお2死三塁。中田は右飛に倒れた。悔やまれる打席は4回にもあった。2死からの連打で2死一、三塁。1ボールからの2球目、外角のツーシームに手を出して遊ゴロに倒れた。必死に走ると、自然と一塁にヘッドスライディングしていた。悔しさの充満が、最後の最後で爆発した。
WBCは、徳俵からの逆襲がよく似合う。明日のオランダ戦に勝てば、決勝ラウンド出場が決まる。きっと簡単な試合ではない。また死闘が待っている。それでも、侍たちは底力を持っているし、また見せてくれるはずだ。【金子航】



