長谷川穂積(35=真正)が正真正銘の「レジェンド」になる。WBC世界スーパーバンタム級王者ウーゴ・ルイス(29)に挑む進退を懸けた世界戦は今日16日にゴング。15日は大阪市内で前日計量が行われ、両者とも一発パスした。35歳9カ月の長谷川が勝てば、世界で3番目の高齢3階級制覇、日本人最年長世界奪取、5年5カ月ぶり返り咲きと記録ずくめの復活劇になる。

 計量を無事に終えた長谷川が、力強くマッスルポーズを取った。リミットの55・3キロでクリアすると、魔法瓶に入れたサムゲタンスープをゴクリと飲んだ。「大丸で買って、妻が解凍してくれたんです。1500円やけど、おいしい」。ホッとしたように笑みを浮かべた。

 日本人最多16度目となる2年ぶりの世界戦。35歳9カ月0日で迎える「ラストチャレンジ」に成功すれば、世界で3番目の高齢3階級制覇になる。35歳以上では過去5人だけで、数々の栄光を手にしてきた長谷川にとっても大きな勲章だ。さらに、日本人最年長世界奪取、高山勝成の5年11カ月に次ぐ5年5カ月ぶりの返り咲きと、勝てば記録ずくめだ。

 負ければ引退、勝っても完全燃焼ならリングを去る可能性はあるが、関係者は「今回は勝つことに徹し、ベルトを取れば自分の好きな戦い方で1、2回防衛戦を行う案はある」と明かす。長谷川は「できるだけダメージを負わない、母親が好きと言ってたボクシングを心掛けたい」と言った。6年前に55歳で亡くなった母裕美子さんが好きだったのは、打って打たせない「きれいなボクシング」。培った防御技術を駆使して、奇跡を起こす。【木村有三】

 ◆高齢3階級制覇 35歳9カ月0日の長谷川が勝てば、1921年のWBA設立以降では世界で3番目の高齢記録。1位は36歳2カ月のマイク・マッカラム(ジャマイカ)で、27歳でWBAスーパーウエルター級、32歳で同ミドル級王座を獲得し、93年3月にWBCライトヘビー暫定王者となった。2位はWBAバンタム級からフェザー級まで制したウィルフレド・バスケス(プエルトリコ)で35歳9カ月16日。