WBA世界フライ級王者の坂田健史(28=協栄)が「ピンポイントパンチ」で初のKO防衛を狙う。同級7位の山口真吾(渡嘉敷)との3度目の防衛戦(29日、千葉・幕張メッセ国際展示場第8ホール)を前に25日、都内でスパーリングを公開。従来よりひと回り小さいミットで、ミット打ちを続けた成果で、パンチを的確に急所にヒットさせた。3月のフライ級戦線で、WBC王者・内藤大助、WBA1位の亀田興毅は、ともに判定決着で終わった。2人の陰に隠れがちの世界王者が、KO勝ちで存在感を示す。

 まさに一撃必殺だ。この日の4ラウンドの公開スパーリングで、坂田は、パートナーのあご、レバー(肝臓)など急所に、ズバズバとパンチを当てた。ヘッドギアなどの防具をつけていたため、倒れることはなかったが、試合ならダウン奪取は確実。坂田の表情にも充実感が漂った。

 パンチの精度アップの秘密は日々の練習に隠されていた。今年に入ってから、小型のミットでミット打ちを続けてきた。縦19センチ、横15センチと従来のものより縦横で約5センチ小さい。従来より、的が小さいため、自然とパンチの精度が高まる。数年前から米国で流行し、最近は国内にも流通し始めた優れもの。坂田も「ピンポイントでパンチが打てるから、急所を狙える」と効果を説明した。

 もともと、今までの相手より、KO勝利のチャンスは高い。挑戦者の山口は所属の協栄とは「兄弟ジム」でもある渡嘉敷ジムの選手。一緒に練習したことも多く、過去に計50ラウンドのスパーリング経験もある。慎重なタイプでスロースターターの坂田だが、手の内を知り尽くすだけに、最初から攻撃的にいける。直接的な表現こそ避けたが「お客さんが喜ぶ内容の試合をしたい」とKO勝利への意欲は隠さなかった。

 世界レベルの日本人選手が集まるフライ級戦線。8日に、WBC王者・内藤大助が前王者ポンサクレックにドロー防衛。22日には亀田興毅が大差判定で再起戦を飾った。注目度に関して、2人に先行を許す現状。だが、小型ミットで磨いた「ピンポイントパンチ」で、内藤、亀田が逃した派手なKO劇を飾れば、存在感が増すことは間違いない。【田口潤】