WBA世界フライ級王者の坂田健史(28=協栄)が4度目の防衛戦をクリアして「歌手」になる。ダブル世界戦(30日、東京・代々木第1体育館)の調印式が28日、都内で行われた。坂田は同級3位の久高寛之(仲里ATSUMI)戦に勝てば、入場曲を自ら歌ったものに変更する。高校時代はバンドのボーカルとして活躍したが、自分の曲での入場は極めて異例。久高戦の次となれば、同級1位の亀田興毅戦も有力視される。ビッグマッチで、自慢の美声を披露するためにも、まずは久高を倒しにいく。
2つの夢がかかる。坂田が久高戦をクリアすれば、内藤との統一戦、亀田との防衛戦というビッグマッチ実現の可能性が出てくる。ボクシングの夢だけではない。「自分の歌で入場したいですね」と「歌手」デビューへの思いを口にした。
子供のころから、ボクシングと音楽が好きだった。中学2年の時、新聞配達のアルバイト代をためて、ギターを購入。広島山陽高入学後、パンクバンドのボーカルとして活動を始めた。クールなイメージの坂田だが、当時はライブハウスで上半身裸になって、叫ぶように歌った。プロボクシングの道を進んだ後も、自分の歌を披露したいとの秘めた思いがあった。
世界王座を奪取した昨年3月のパーラ戦から「ザ・ファイナル・カウントダウン」で入場する。験のいい曲だが「もう縁起を担ぐ必要はない。オリジナリティーのあるものにしたい」と、当初は久高戦からの変更を考えた。だが、今回は間に合わず、久高戦の次の試合からに延期していた。
異例の「マイソング入場」を実現するため、家族のサポートも得ている。路上パフォーマーとして活躍したこともある弟の康雄さん(24)に作曲を依頼。坂田は「試合の時に生演奏してくれたらいいですね」と弟との共演を待ち望んだ。
「歌手デビュー」の実現へ、久高戦前はいつも以上の準備をしてきた。元WBA世界スーパーフライ級王者の名城信男、内藤の相手の清水らとスパーリングを積んだ。この日の調印式では久高から「勝てると思っている」と挑発されたが「何とも思わない。練習でやってきたことをすべて出すだけです」と冷静だった。有力視される亀田とのビッグマッチで、自らの歌で入場するためにも、負けられない一戦になる。【田口潤】

