プロボクシング元WBC世界ライトフライ級王者ヘルマン・トーレス氏(メキシコ)を父に持つ元WBC世界バンタム級11位の健文トーレス容疑者(本名・トーレス・マルティネス・健文=21)ら元ボクサー2人がタクシー運転手を脅し、料金を踏み倒したとして14日までに、大阪府警に強盗容疑で逮捕された。トーレス容疑者はWBAフライ級1位亀田興毅(22)とは1歳年下の小学時代の幼なじみ。関係者は「残念としか言いようがない」とショックを隠せない。

 大阪府警捜査1課などによると、トーレス容疑者らは3月17日午後9時40分ごろ、堺市からタクシーに乗り、約40分後に大阪市西成区北津守4丁目に到着した際、50代の女性運転手の腕をつかんで「金を出せ」と脅迫、料金約6000円を踏み倒した疑い。

 トーレス容疑者と同乗していたのは元プロボクサーの山本良貴容疑者(21)。トーレス容疑者らは運転手の上着ポケットから現金を奪おうとしたが、運転手が防犯ブザーを鳴らしたため何も取らずに逃走。タクシーから採取された掌紋が山本容疑者のものと一致したため、両容疑者を強盗容疑で逮捕した。

 トーレス容疑者は元WBC世界ライトフライ級王者ヘルマン・トーレス氏を父に持つ。ボクサーの亀田興毅の1歳年下で、同じ大阪市西成区の天下茶屋小に通った幼なじみ。亀田兄弟とは同じ空手道場にも通っていた。

 今年4月19日には2年ぶりの再起戦が大阪で予定されていたが、体調不良によりキャンセル。同日付で日本ボクシングコミッションに引退届を提出していた。現役時代を知る関係者は「世界を目指せる才能があった」と話した。

 トーレス容疑者が所属していた大鵬ジム(大阪市)の大鵬健文会長は「(逮捕は)知らなかった。驚いているし、ショックです。本当にバカですね。残念としかいいようがない」と話した。

 日本ボクシングコミッションの中山喜治関西事務局長は「すでに引退したとはいえ、元ボクサーがこうした事件を起こすことは非常に残念です」とコメントした。