石井慧(23=アイダッシュ)が「ハワイごもり」で傷心を癒やし、再起を目指す。プロデビュー戦の昨年大みそか「Dynamite!!」で吉田秀彦(40=吉田道場)に完敗して以降、無言を貫いていたが、9日に米ハワイに出発するため成田空港に姿を見せた。「日本で(練習を)やるのは恥ずかしい」と話し、再起戦決定までハワイを拠点に練習を積むことを明かした。また次戦リングが戦極になることを明言し、3月7日の両国国技館大会への出場を志願した。

 神妙な表情で石井が成田空港に姿を見せた。屈辱の敗戦から9日。目深に帽子をかぶり、石井節もほとんどなかった。表情を緩めても苦笑どまり。試合後に会見をキャンセルしたほどのショックは、まだ残っている様子だ。その傷心を癒やす再修行のために選んだ場所はハワイ。1年間、転々とした練習拠点を絞り、敗戦後初めて口をひらいた。

 石井

 前に練習したハルさん(ハワイ・マーシャルアーツ・センターの日本人トレーナー嶋西晴臣氏)のところでずっとやろうと思った。前にハルさんのところが良かったところがある。やっぱり日本(の練習で)は恥ずかしい。修行期間?

 次の試合までです。

 大みそかの敗戦は想像以上のショックだった。試合中、リング上で緊張している自分自身に気づいたという。吉田に浴びた右フックの影響で意識も遠のいたことも吐露した。

 石井

 (右フックは)結構、効いてました。半分、意識なくて…初めての経験でした。他に殴られても感覚がない感じでした。年が明けて2日間、自宅で寝込みました。それほどの心境…ショックでした。もっとやれた?

 そんなことは考えず、この先、どうしようと思った。

 しかし、試合後に連絡を入れたアントニオ猪木から言われた「石の上にも3年」という助言が身に染みた。練習するしか道はない-。謙虚に再出発する覚悟を固めた。

 石井

 石の上にも3年ということです。みんなは経験(不足)というけれど、いろいろな面で、負けるべくして負けたと思う。足りなかった部分はやらないといけない。自己採点?

 とりあえず全然、分からない。恥ずかしいです。

 嫌な思い出は、すぐに試合で振り払いたいようだ。契約を結ぶ戦極からはプロ2戦目を7月に設定されたが「すぐやりたい。もっともっと早く。次の試合に、3月7日(の戦極)に出たい」と早期復帰を熱望した。寅(とら)年の今年、石井は24歳、年男となる。

 石井

 どうしても判定でも勝って、今年は良い年にしたかった。正月は楽しく過ごしたいと思っていたのに、こんな感じなので、もう少しマシな年にしたい。

 吉田戦が格闘家として成長の節目となる始まりの夜「ビギンズ・ナイト」にしなければならない。そのために屈辱をバネにしながらハワイで戦いのキバを研ぐつもりだ。【藤中栄二】