プロ柔道家・吉田秀彦(40=吉田道場)の引退試合の相手として、旧PRIDEヘビー級王者・エメリヤーエンコ・ヒョードル(33=ロシア)が最有力であることが18日、明らかになった。4月25日に東京・日本武道館で行われる「吉田秀彦引退興行~ASTRA」に向け、交渉が続いている。PRIDEでは期待されながら1度も実現しなかったファン待望のカード。交渉がまとまれば、約8年間の格闘技生活に別れを告げる吉田のラストマッチとして最高の対戦相手となりそうだ。

 吉田がリングを去る最後の試合に「最強」の称号を持つ男の名前が挙がってきた。これまで吉田の所属事務所J-ROCK國保尊弘社長は吉田の対戦相手について「外国人で1人、日本人で3人の候補に絞って交渉している」と説明してきたが、外国人は旧PRIDEヘビー級王者ヒョードルだったことが分かった。國保社長は18日、日刊スポーツの取材に対し「今、交渉している最中なので何も言えない」と最後まで否定しなかった。

 格闘技関係者によると、2月8日の吉田引退興行の発表直後からヒョードル側に連絡を入れ、断続的に交渉を続けてきたという。22日に横浜アリーナで予定されているDREAM13に合わせ、ヒョードルに近い関係者が次々と来日予定。そこで最終的な交渉が行われるという。ヒョードルは06年に手術した右拳の痛みを抱えているという情報もあり、吉田戦受諾のポイントは負傷の回復状況次第となるもよう。ただ順調に交渉が進めば来週中に決定しそうだ。國保社長も「24日までに決めたい」と口にした。

 ヒョードルは09年4月、総合格闘技団体「DEEP」イベントのために来日し、現DREAMライト級王者の青木真也とエシキビションマッチを行った。日本での公式戦となれば07年12月31日「やれんのか!大みそか2007」で崔洪万にTKO勝ちして以来だ。もし吉田戦が実現すれば、約2年4カ月ぶりの日本リング復帰となる。

 ヒョードルは現在も米国総合格闘技団体UFCから強い興味を示されているなど実力は世界中に認められている。國保社長が「吉田の最後の試合として意味のある対戦相手にしたい」という基準に最も該当するファイターと言える。吉田自身も「相手は早く決まった方がいいが、誰がなっても良い試合がしたいという心構えで待っています」と自然体で待ち構えている。

 交渉が不調に終われば日本人対決に切り替えることになるが、國保社長は「やりたいと思ってくれている選手にも他との契約がある。何とかしてやれないのかと話していきたい」と粘り強く交渉を続ける方針を示した。PRIDEで最後まで実現しなかった待望のカードだけに、交渉がまとまれば大きな注目を集めるのは間違いなさそうだ。