<UFC“最強”への挑戦(1)>

 約12年ぶりの日本上陸となる米国総合格闘技UFCの144大会「UFC

 JAPAN」(26日、さいたまスーパーアリーナ、日刊スポーツ後援)の開催が、いよいよ9日後に迫った。世界最高峰といわれる舞台に立つ選手たちは何を思い、考えて臨むのか。日本人ファイターを中心に「UFC“最強”への挑戦」と題して連載する。第1回は、自身の進退をかける秋山成勲(36)を紹介する。【取材・構成

 山下健二郎】

 「反骨の柔道王」と呼ばれ、日本の格闘技界をけん引してきた秋山は、集大成のときを迎えた。HERO’Sライトヘビー級王者となり、DREAMを経て09年から参戦しているUFC。約3年5カ月ぶりとなる日本での一戦を“節目”に決めた。秋山は「勝っても負けても、今回が最後という覚悟に変わりはない。自分自身にけじめをつけて戦う。(試合翌日の)27日以降、スケジュールは何も入れていない」と迷いなく言い切る。

 36歳。心身の消耗が激しい世界で、峠を越えたという声もある。「正直、もうUFCでの戦いは終わったと感じた。全部の試合がギリギリの戦いだった」。クリス・リーベン、マイケル・ビスピン、ビクトー・ベウフォート。UFCの名だたる強豪に真っ向勝負を挑み、いずれもファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞した。だが、3連敗という結果は覆らない。「紙一重の戦いを自分のものにできなかったのは、努力や運といった1つ1つのことが足りなかったから。考えさせられた3試合だった」。

 悔いなく戦い、そして勝つために、新たな挑戦に出た。ライトヘビー級から、体格に合ったウエルター級へ初転向。モデルのSHIHO夫人をはじめ、家族に食事管理のサポートを受け、92キロから15キロ減量した。練習環境も変え、打撃とフィジカルの指導者に加えて、UFC参戦歴がある元総合格闘家の高阪剛氏(41)を参謀に迎えた。「自分と違った角度から見てもらえるので、今までやってきたことに肉付けできる」。当日はセコンドに付いてもらい、戦略の指示を仰ぐ。

 相手に不足はない。今回出場する日本人選手の“大トリ”で、元ストライクフォース世界ミドル級王者ジェイク・シールズ(33=米国)と対戦する。「日本代表という自覚がある。しっかり締めくくりたい」という秋山。格闘家人生をかけた一戦が、幕を開ける。