WBC世界スーパーフライ級王者の佐藤洋太(28=協栄)が「名人の頭脳」で、大みそか決戦を制す。13日、都内のジムで、将棋棋士の森内俊之名人(41)と対面。心理面などのアドバイスを受けた。子供のころから将棋好きで、駆け引き、読み合いを、トリッキースタイルのボクシングにいかしてきた。大みそかには岩手で、同じ岩手出身の前WBA世界ミニマム級王者の八重樫東(29)との「みちのく対決」も有力。ビッグマッチに向け、最高の刺激材料になった。
憧れの名人を前に、元ヤンキー王者も、緊張を隠せなかった。所属の協栄ジムの顧問弁護士を通じて、森内名人との対面が実現。激しいスパーリングを見せた直後、汗だくの状態で、将棋盤の前で向き合った。名人との対局は恐れ多く遠慮したが、心理面などのアドバイスを受けた。「段もないし、ただの下手の横好きなのに、会ってもらって申し訳ない」と恐縮した。
物心ついたときには親と将棋をしていた。今も公園、海、焼き肉店と、ちょっとした合間があれば、小型将棋盤で友人と駒を指す。世界王座奪取した3月のスリヤン戦でも2度ダウンを奪った場面で「相手は飛車角落ちですね」と思わずセコンドにつぶやいた。将棋の心は身に染みている
将棋とボクシング。共通項はなさそうだが、根っこの部分では通じている。読み合い、相手を引っかけるような指し手など、自身の変則スタイルの一部は将棋で磨く。森内名人にも「将棋も基本は3手の読みです。100手単位で読むこともあります。相手がどうくるか、正確に読む」と状況判断の大切さを強調された。佐藤は「参考になったし、刺激になった」と名人に感謝した。
大みそかには岩手で、同じ岩手出身の八重樫との「みちのく対決」が有力。一時は家族ぐるみの付き合いのある同郷の先輩との対決に難色を示したが、この日は「(金平会長から)やれと言われればやる。スパーリングで殴り合ってるし、大丈夫」と切り替えた。この日、同じ勝負師の森内名人からパワーを得た。好きな駒は「桂馬」。ビッグマッチのリングでも変幻自在な動きをみせる。【田口潤】
◆森内俊之(もりうち・としゆき)
1970年(昭45)10月10日、横浜市生まれ。小3から将棋を始める。神奈川・サレジオ学院中学を経て同高卒業。87年5月にプロ入り。88、89年に新鋭戦で連覇。02年5月、初タイトルの名人位を獲得。03年には羽生善治から竜王、王将を奪取。04年6月には史上7人目の3冠王(竜王、名人、王将)。07年6月には永世名人の資格を得た。受けのスタイルで「鋼鉄の受け」ともいわれる。
◆永世名人
名人位を通算5期以上獲得した棋士は、引退後、永世称号である永世名人を名乗れる。大山康晴、中原誠らがおり、現役では谷川浩司は引退後に17世名人、森内俊之は18世名人、羽生善治は19世名人を襲位予定。森内は名人位を7期獲得している。

