WBC世界スーパーバンタム級名誉王者の西岡利晃(36=帝拳)が13日、都内のホテルで引退会見を開き、来年から関西でジムを開設し、後進の育成に励む考えを表明した。命を懸けて、数々の苦難を乗り越えてきたボクシング人生。ジムの会長になっても、世界王者の輩出だけにこだわらず、4回戦ボクサーでも、ボクシングに人生を懸けられる「侍ボクサー」を育て上げる。
次の夢へのスタートは切った。西岡は故郷の関西でジムの会長になるため、大阪から神戸地区の物件探しに入った。だれもが世界王者の誕生を目指すが、36歳の苦労人の考えは違った。「4回戦ボクサーでも、その時に頑張って、感動を与える選手になれば」と、自らのボクシング人生を重ねるように言った。
まさに侍魂のかたまりだ。「過酷なトレーニングをして、命を懸けて試合に臨んできた。すべてを懸けて戦うからこそ感動を生む」。00年から4度の世界挑戦失敗と2度のアキレスけん断裂。何度も引退危機に見舞われたが、あきらめなかった。08年からは兵庫・尼崎に住む家族と別居し、ボクシングに打ち込んだ。
08年9月、32歳で悲願の世界王者になったが、その後も1ラウンド4分、超薄手のグローブで練習するなど、独自の工夫を欠かさなかった。取材では常に勝利を断言。「なりたい、したいとか、そんな願望は誰にでも言える。断定の言葉には、信念と覚悟と決意があるんです」。強烈なプライドを持ち、先月には4階級王者ドネアとのスーパーファイトを実現した。
「大満足で本当に幸せなボクシング人生でした」。世界王者であれ、4回戦ボクサーであれ、完全燃焼して、自分のように胸を張って、現役生活を振り返られる選手を作りたい。帝拳ジムの浜田剛史代表は「苦難を乗り越えただけに、いい選手を育ててくれるはず」とエール。ジムには帝拳の名を付けるプランもある。西岡の第2のボクシング人生が始まった。【田口潤】
◆西岡利晃
にしおか・としあき。1976年(昭51)7月25日、兵庫県加古川市生まれ。JM加古川ジムから00年に帝拳ジム移籍。08年9月WBC世界スーパーバンタム級王座獲得。7度防衛成功、今年3月に日本人初の名誉王者。戦績は47戦39勝(24KO)5敗3分け。

