9日の両国大会で引退表明をしたノアの元GHCヘビー級王者小橋建太(45)が、一夜明けた10日、引退試合に向けてトレーニングを再開した。東京・有明のノア道場に現れた小橋は「プロなんだから当たり前のこと」。引退試合について、GHC王座13連続防衛を果たして絶対王者と呼ばれた当時の挑戦者全員を呼んで、オールスター形式で行う構想を明かした。

 引退表明しても、小橋は変わらない。午前10時、ノア道場に愛車で乗りつけた。前日はできなかったトレーニングを、再開した。「プロなんだから、トレーニングするのは当たり前だろう。コンディションを整えないと、ファンに失礼だ」と話した。

 それも全ては、残り1試合と決めた引退試合のためだ。小橋は自分のレスラー人生に関わった、全ての人に引退試合に来てほしいと思っている。「引退試合の大会には、過去に戦った選手、関わりのある人に全員来てもらいたい」。契約切れでノア退団が騒がれている盟友秋山準(43)、愛弟子潮崎豪(30)も、もちろんだ。「準や豪は離脱とか騒がれているけど『絶対に駆けつけたい』と言ってくれている。そこはノアであろうが、なかろうが関係ない。俺の引退試合なんだから」と意志を貫く。

 13度の防衛を果たしたGHC王座の挑戦者も全員に招集をかける。「亡くなった人もいるけど、(本田)多聞に蝶野さん、永田選手、高山選手、それに鈴木(みのる)選手もね」。ただ1人だけノア社長の田上明(51)については「そこは言わないよ。でも、防衛戦の相手に入っているんだよな」と笑った。「ほかにも武藤選手や、ビッグバン・ベイダーにも来てほしい。一緒に戦わなくても、試合してくれれば全体として素晴らしいものになる」と話した。

 引退試合ではバーニングハンマーを解禁する。アルゼンチン式背骨折りに相手を抱え上げ、脳天から落とす必殺技だ。「危ない技なんだけどね。引退試合だからやってみたい。それには、まず自分のコンディションを仕上げないと」。時期については「まだ、これから。まだ元子さんにも、あいさつに行かなきゃいけないからね」と、亡き師匠の故ジャイアント馬場さんの奥さんの名前も口にした。

 場所は数々の名勝負を作った日本武道館が濃厚。そのときに向けて、小橋建太は汗を流し続ける。【小谷野俊哉】

 ◆小橋建太(こばし・けんた)1967年(昭42)3月27日生まれ、京都府福知山市出身。87年全日本入門。88年2月デビュー。96年初の3冠ヘビー級王座獲得。00年ノア旗揚げに参加。03年GHCヘビー級王座獲得、13度の防衛に成功。10年10月、演歌歌手みずき舞と結婚。得意技は剛腕ラリアット、逆水平チョップ、ハーフネルソンスープレックス。186センチ、115キロ。