<UFCリターンズ(6)>

 新日本プロレスの木谷高明会長(52)は、UFCを「イベントとしては一番のライバル」と断言する。プロレス界では、米国のWWEも存在するが「WWEが何をやってこようが怖くない」という。同じイベントを手掛ける者としてUFCには脅威を感じている。

 木谷会長は新日本プロレスと関わる以前から、UFCに注目していた。日本で一時代を築いたPRIDEで活躍した選手たちの多くが流れたからでもあった。PRIDEが日本で大ブレークしたことについて「一番うまかったのは、選手のキャラクターを引き出して、数分の間に(見る人に)感情移入させること」と冷静に分析している。

 2002、03年ごろから見るUFCは、その後、米国でも総合格闘技NO・1の団体となった。「過去のDVDも見ていますよ。(元WWE世界王者の)ブロック・レスナー(35)がチャンピオンになったとき(08年11月)にはうれしかったなあ」。このときばかりはファンの顔になった。

 プロレスとの共通点は「選手のキャラクターが立てるかどうか」にあるという。「PRIDEの映像は今、UFCにある。シウバが、いかにここにかけているかというのをうまくつくれば、もっと盛り上がると思う」と、イベントの作り手という視点で考えている。また「プロレスは人によって見方が違うから面白い。総合はほとんど感動は同じ。でも瞬間のインパクトと瞬発力はUFCの方がある」という。3日は会場に足を運ぶかどうか迷い、結局観戦することに決めた。

 先日、ヴァンダレイ・シウバ(36)と桜庭和志(43)の対談で、2人がプロレスでタッグを組むことに合意したと知ると、途端に目を輝かせた。「来年の1月4日は土曜日なんですよ。桜庭さんとシウバのタッグ、やりたいね。相手は、ジョシュ・バーネットと永田さんかな(笑い)」。今や、国内プロレス界は新日本の1人勝ち状態。その立役者がUFCに熱い視線を送っている。【桝田朗】

 ◆木谷高明(きだに・たかあき)1960年(昭35)6月6日生まれ。石川県出身。山一證券勤務時代に米国留学を経験。94年、株式会社ブロッコリーを創立、01年にJASDAQ上場を実現。07年、トレーディングカードゲームメーカーの株式会社ブシロードを創立し、社長に就任。12年1月、新日本プロレスを株式会社ブシロードグループパブリッシングの子会社にして世間を驚かせ、新日本プロレスリング株式会社の取締役会長に就任した。

 ◆テレビ放送

 WOWOWプライムで3月3日正午から生中継。