<プロボクシング:WBA世界バンタム級タイトルマッチ12回戦>◇7日◇大阪・ボディメーカーコロシアム

 WBAバンタム級王者亀田興毅(26=亀田)が、ふがいない勝利に涙の土下座で謝った。サウスポーの同級8位パノムルンレック・カイヤンハーダオジム(29=タイ)に大苦戦し、辛くも2-1で判定勝ち。6度目の防衛には成功したものの、試合後「あかんもんはあかん。すんません」と地元大阪のファンにざんげした。亀田は30勝(17KO)1敗となった。

 ざんげの土下座だった。勝って6度目の防衛に成功した亀田に、笑顔はなかった。レフェリーに左腕を上げられても、何度も首を振った。不満げな表情のまま勝利のセレモニーを終えると、リング上で膝をつき、涙を流しながら四方を向いて頭を下げた。

 「こんないっぱい集まってもらったのに、申し訳ない。すんません。あかんもんは、あかん。しょうもない試合してしまいまして、本当に申し訳ない」。口から出たのは地元大阪のファンへの謝罪の言葉だった。

 相手のパノムルンレックは、亀田が唯一黒星を喫したポンサクレックと同じサウスポー。「左」への苦手意識が、序盤から体の動きを硬くした。2回、強烈な左アッパーを食らってふらついた。4回には早くも顔が赤く腫れ、鼻から血がこぼれた。ジャブもよけきれない。それでも、鬼の形相で接近し、ボディーやアッパーの連打で食い下がる。11回終了時では1-1のドローだったが、最終12回に3人のジャッジ全員が亀田にポイントをつけ、何とか判定勝ちに持ち込んだ。

 2月14日に最初の対戦相手が発表されてから、3月12日に1度、同14日に2度目の変更があり、最終的に決まったのは同16日。この日は「準備が短かったとかそんなことは仕方ない。言い訳するつもりはない。それも含めていい勝ち方をするのがチャンピオン」と強がったが、試合前は「たび重なる変更はきつい。正直、延期しようかと思った」ともらしたこともあった。想定外のトラブルも、苦戦の要因だった。

 唯一の収穫は、勝ったこと。「首の皮1枚つながっただけやな」。だが、目標の4階級制覇や他団体との王座統一へ向けては、とても強気にはなれない。「あかんときは、あかんなりのボクシングを身につけないと。自分が納得できる試合をせんと、その先の道が広がってけえへん」。今年初戦の勝利の味は、苦く渋かった。【木村有三】

 ◆亀田興毅(かめだ・こうき)1986年(昭61)11月17日、大阪市生まれ。WBA世界ライトフライ級、WBC世界フライ級に続き、10年12月にWBA世界バンタム級王座を獲得し、日本初の3階級制覇を達成。166センチの左ボクサーファイター。