ボクシングの前WBC世界フライ級王者八重樫東(31=大橋)が、12月30日に東京体育館で、1階級下の同ライトフライ級王座決定戦に出場することが10日に発表された。現在同級3位にランクされており、同級1位のペドロ・ゲバラ(25=メキシコ)と対戦する。9月にローマン・ゴンサレス(ニカラグア)との激闘に敗れ、王座陥落。再起戦でのタイトル挑戦で、勝てば亀田興毅に続く日本人2人目の3階級制覇となる。
目の前のビッグチャンスにも、八重樫は冷静だった。しっかりと前を見つめ、言った。「ボクシングを始めた時は2階級制覇とか、3階級挑戦とか夢にも思わなかった。自分は恵まれている。チャンスをもらえたのは運もあるし、応援してくれる人のおかげ。そういう人の気持ちに応えたい」。淡々と言葉をつなぐ姿が、固い決意を表した。
9月にゴンサレスと歴史に残る打撃戦を展開も、王座陥落。それでも「負けて強くなってきた」と称される男の心は折れなかった。12年4月の井岡一翔とのミニマム級団体王座統一戦に敗れた時と同じく、顔の腫れが引くとすぐに練習を再開。「落ち込んだのは1日ぐらい。自分は大ざっぱな性格。やる時は、やる」。同門の井上尚弥の王座返上で巡ってきたチャンスにかける思いは強い。
世界挑戦経験もあるゲバラとの一戦は「体重」が大きなテーマとなる。減量はフライ級時の6キロから8キロに増える。日本人の複数階級制覇挑戦で、今回の八重樫と同じく上の階級から下げて挑んだのは長谷川穂積のみ。未知の戦いに「ロイ・ジョーンズなど名選手が『上げて下げて』に失敗してきた。そこには何かあるし、取れれば達成感につながる」と思いを口にした。
ファンは熱戦を期待するが、八重樫自身が追い求めるのは勝利のみ。「前回の試合と比べられると思うが、激しい試合はしたくない。勝つボクシングをする」と力を込めた。人生を切り開いてきた拳で、3本目のベルトを取りに行く。【奥山将志】
◆日本人選手の3階級制覇挑戦
亀田興が10年12月にムニョスとのWBAバンタム級王座決定戦に勝ち、WBAライトフライとWBCフライ級王座に続き、日本人初の3階級制覇を達成した。その以前には、ファイティング原田がフライ級、バンタム級王座を獲得し、69年7月にWBCフェザー級王者ファメションに敵地で挑戦。3度のダウンを奪うも判定負けし「幻の3階級制覇」と言われている。また、井岡弘樹、長谷川穂積、井岡一翔も挑んだが失敗した。

