辰吉寿以輝(じゅいき、18=大阪帝拳)が“ダウン”を奪ってプロボクサーになった。元WBC世界バンタム級王者辰吉丈一郎(44)の次男寿以輝が24日、大阪市内のIMPホールでC級ライセンス(4回戦)のプロテストを受験。実技のスパーリングで、プロ1戦1敗の小山英哉(25=ワイルドビート)に左フックをさく裂させて、レフェリーが一時ストップ。合格が即日、発表された。

 父丈一郎は、プロテストを見なかった。テスト終了後に大阪帝拳ジムの興行を観戦するため来場。報道陣約50人、カメラ4台が集まった会場で「そんなに騒ぐことじゃない。プロテストやろ。おれが見に来たらあほやん」と言った。

 「好きにしたらいいやん」。ジム入門も、プロテスト受験も、そう言って突き放した。ジムに息子を預けた以上は口出しはしない。セミリタイア状態の今も練習を続けており「親ではあるけど、違う道を行っているから」と言う。

 息子への贈り物は、1つだけ。10月末に息子が新調した名前入りの純白のシューズだ。付き合いがあるミズノ社を紹介した。パンチ力自慢の息子とスタイルが違うが、共通した部分が1つある。ひもをかかと側で結ぶシューズの履き方。「前でひもがひらひらしたらじゃまやん」という父の結び方を、幼少期から一緒に練習してきた次男は受け継いだ。その事実に対しては「おれと一緒やろ」と目を細める。

 「良かったなと思うけど、大変だとも思う。これからは自由がなくなる。できていたことができなくなるから」。最後は過酷な競技を選んだ息子に向けてエールを送った。