綱とりに挑む大関琴奨菊(32=佐渡ケ嶽)が、絶体絶命の状況から命拾いした。
相手は、中学時代からのライバル豊ノ島(32=時津風)。初優勝した初場所では「最高の立ち合い」で押し込みながら、土俵際でとったりを食らい、唯一の黒星をつけられた。
そこで考えた。「相手によって立ち合いを変えるのはダメなんだけど、突き落としを食らわないように『置き』に行った」。踏み込むも、一気に出ない。攻め急がない。それで勝つ-。
立ち合いからの流れは狙い通りに進んだ、はずだった。だが、差し身のうまい豊ノ島にもろ差しを許してしまう。形勢を逆転された。左を巻き替えに行くと、その瞬間に土俵際に追い詰められた。左足1本で懸命に残すが、体勢は苦しい。万事休す-。
誰もがそう思ったが、琴奨菊だけは違った。「心の余裕が結構あった」。もがき、抱えた右で小手に振り、すかさず左から突き落とし。先場所やられた形で、お返し。どよめく館内の土俵上で大きく息をついた。
「途中がバタバタした。最後より、途中を反省せなアカン」と言うも、追い詰められた中で白星を拾ったことは大きい。「いい相撲ばかりでは勝てないし、いい相撲をして負けても意味がない。何かを犠牲にしてでも勝たないかん」と決意を口にしていた。

