大関稀勢の里(30=田子ノ浦)の綱とりが、つながった。大関豪栄道を押し出して12勝目を挙げた。優勝は1差で逃して今場所での横綱昇進はないが、昇進を預かる審判部は秋場所(9月11日初日、東京・両国国技館)に持ち越すことを明言。3場所連続で綱とりに挑む。

 勝てばよいよい、負ければ地獄。そんな緊張の一番で、稀勢の里は力強い相撲を取り戻した。巻き替えようとした豪栄道を、左からの強烈なおっつけで後ろ向きにした。みなぎる力で、土俵外に追いやる。綱へ、重要な12勝目を挙げた。

 「最後にいい感じで締めくくれた。最後は良かったですね」。続く結びで日馬富士が勝ったため、賜杯にはまた届かなかった。だが、負ければ振り出しに戻る窮地をはねのけた。二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)は「来場所につながって良かった。1差だからね」と綱とり継続を明言した。