西前頭10枚目の佐田の海(29=境川)が、昨年夏場所以来、8場所ぶりの勝ち越しを決めた。新入幕の千代翔馬(25=九重)を押し出し。「だいぶ長かった。勝ち名乗りはうれしかったです。久しぶりすぎて」としみじみと喜んだ。

 昨年名古屋場所から悪夢は続いていた。6勝、6勝、5勝と来て、今年は初場所から4場所、ずっと7勝8敗。あと少しが勝てなかった。年6場所制となった58年以降、ワースト記録となる7場所連続の負け越し。番付こそ幕内をキープしてきたが「毎場所、負け越しが続くことにプレッシャーがありました」と振り返った。

 それでも、故郷を思えばこそだった。地元熊本は震災の被害を受けた。「もっと大変な人はいますから。7場所連続の負け越しなんて、かわいいものですよ。地震で大変な人に比べたら。腐ることなくできた」。あと1番勝てば、昨年初場所以来の9勝目となる。「負け越した分を取り返すのが大事」と気を楽にして、千秋楽を見据えた。