会場が興奮のるつぼと化した。結びの一番。横綱白鵬(31=宮城野)を倒したのは、東前頭3枚目の遠藤(26=追手風)だった。昨年初場所以来5度目の挑戦で、第一人者を初めて撃破。「そういう日を迎えられるように耐えてきた」としみじみと感じ入った。

 まさに完勝だった。立ち合い、横綱が右で張ってきたが「しっかり踏み込むことを考えていた。ひるまず前に出ようと思った」と臆せず、差し勝って左四つとなった。そして、そこからが速い。休まず前に出て寄る。腰を落として懸命に残ろうとする白鵬を、一気に寄りきった。「うれしいです。結びの雰囲気にのまれないように。それだけ集中しました」とうなずいた。

 これで今場所は、日馬富士にこそ敗れたものの1横綱、3大関を撃破。左膝と右足首のけがからの完全復活を印象づけている。7日目はただ1人、全勝の横綱鶴竜戦。目の前に広がる景色について聞かれても「明日の一番しか考えていないです」と話した人気力士は、2日続けての金星を狙っている。