春風亭昇太(56)の日本テレビ系「笑点」の司会起用には驚いた。22日の生放送で桂歌丸(79)が昇太の名前を読み上げた時、スタジオの観客から驚きの声が起こったが、スタジオ近くのロビーでモニターを見ていた記者たちからも「えーっ」という叫び声が上がった。

 司会交代で有力候補は内部昇格の三遊亭円楽(66)だった。27歳で「笑点」の大喜利レギュラーとなり、歌丸とは公私ともに親しく、代役で務めた司会でも安定感があった。何人かの落語家に聞いても「それは円楽さんでしょう」と答え、誰しもが円楽と思っていた。しかし、結果は大穴の昇太だった。二つ目になったばかりの弟子昇羊も「私も知らなかった」というのは本当だろう。歌丸の司会勇退の時も弟子たちはまったく知らなかったように、「笑点」レギュラー、スタッフの口は本当に固かった。

 昇太の司会起用には、「笑点」の今後も透けて見えてくる。担当プロデューサーが「番組を100年続けていくためには、大喜利はチームワークなので、外部の方に来ていただくことは早い段階でやめた」と明言したが、昇太の起用には今後予想されるレギュラーの若返りをひとまず先に司会で先行したとも言える。レギュラーは林家たい平の51歳が最年少で、林家木久扇78歳、三遊亭好楽69歳、三遊亭小遊三69歳、円楽66歳と高齢化し、交代の時期が遠からずに来る。その時に入ってくる中堅、若手とのうまく息を合わせられるのは、56歳ながら、考えが柔軟で若々しい昇太しかいないだろう。円楽が司会となった場合、せいぜいできるのは10~15年ぐらいだが、昇太は少なくとも20年はやるだろう。長い目で昇太の司会ぶりに注目したい。【林尚之】