第1作から14年、ゲームから生まれた異色のパニック映画が6作目にして最後を迎える。25歳でヒロイン・アリスになったミラ・ジョボビッチも40歳。最も輝く時期をアンデッド(ゾンビ)との格闘にささげ、体を張ってきたわけだ。

 汚れても傷ついても、目力は衰えない。引き込まれる。近年よく見るタフでセクシーな女戦士像はこの人が確立したといっていい。

 夫でもあるポール・W・S・アンダーソン監督は、彼女の視線に寄り添って撮る。地平線から現れるアンデッドの群れとの距離感。恐怖もじわりと伝わる。手だれの3D撮影の視界では、奥行きだけでなく、高さも実感できる。タワービルの廃虚にアンデットが押し寄せるシーンは、燃えたぎるオイルの落下がすさまじい光の滝となり、炎の形が浮き上がる。圧巻だ。

 人類存亡がかかった終盤、アリスの正体が明かされる。時空を超えた物語で、自ら特殊メークの老婦人も演じ、愛娘エバちゃん(9)がカギを握る少女として登場。監督と親子3人で人気シリーズに終止符を打った。ハリウッド初挑戦のローラの出番は多くないが、個性派ぞろいの夜間シーンでも、やはり目は大きい。【相原斎】

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