◆味園ユニバース(日)

 大阪人なんで、ミナミの戎橋あたりや通天閣をザッツ大阪とされると「ん!?」と思う。確かに象徴やけど、そんなもんちゃうねんと…。本作はオール大阪ロケ。タイトルでクライマックスの舞台「味園ユニバース」は超ディープスポットやが、そこ以外、ランドマークらしい場所は出てこん。山下敦弘監督は生活感のある「大阪の日常」を大阪人目線で伝えてくれた。そこがうれしい。

 バンド「赤犬」の公園ライブに傷だらけの男(渋谷すばる)が乱入、マイクを奪い、和田アキ子の「古い日記」を熱唱、気絶する。男は記憶喪失で、歌声にひかれた赤犬のマネジャー、カスミ(二階堂ふみ)は「ポチ男」と呼び、面倒を見て、事故ったボーカルの代役にしようとするが-。

 ナニワの異能集団=大阪芸大OBの監督とスタッフ(ちなみに赤犬も同大OBバンド)が歌以外の仕事を断ってきた渋谷を、歌中心のオリジナルストーリーで引っ張り出した。渋谷の持つ危なっかしさが、粗暴さを隠し持つポチ男に異様にハマッてる。

 渋谷の歌う「古い日記」。♪あの頃はっ!! がかっこええ。脳内へビーローテーションして困った。【加藤裕一】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)