第38回日本アカデミー賞授賞式が27日、都内で行われ、V6岡田准一(34)が「永遠の0」(山崎貴監督)で最優秀主演男優賞、「蜩ノ記」(小泉堯史監督)で最優秀助演男優賞の2冠に輝き、男泣きした。男優賞2冠と、ジャニーズ事務所所属現役俳優の日本アカデミー賞の受賞は史上初。

 岡田の左目から涙がこぼれ落ちた。「最高の日。アカデミー賞の場に立てるとは思っていなかった。歴代のそうそうたる顔ぶれの名前の1つに、自分が入る。映画俳優として覚悟を持たせるために許してくれた事務所への思いもある」。SMAP木村拓哉(42)が06年「武士の一分」で優秀主演男優賞を辞退した経緯があったが、ジャニーズ事務所側は「映画に育てていただいた俳優といっても過言ではない」と、同事務所最多20本の映画に出演した岡田の受賞を認めた。そのことに感謝した。

 V6メンバー井ノ原快彦(38)からの祝福メールにも感激した。「『この場所に立てる岡田を自分は誇りに思います』というメールをいただいた。僕が芝居の方に気持ちが行った時もあったけれど、メンバーもファンも許してくれた。20年、いろいろあったけれど一緒に頑張った仲間に初めて言われてうれしかった」。

 78年の第1回主演男優賞受賞の高倉健さん(享年83)、第2回同賞受賞の緒形拳さん(享年71)との秘話も明かした。昨年、高倉さんから「行けないので代わりに行ってほしい。役者として勉強してきなさい」と託され、映画「七人の侍」(1954年)で知られる名優・志村喬さんの兵庫県朝来市にある記念館を訪問。また99年のTBS「ディア・フレンド」で共演した緒形さんからは「お前は芝居に向いている。つらいことがたくさんあり、難しいかもしれないけど続けなさい」と言われたという。

 「託されたり思いをつなげることが最近、僕の中で大きく起こっている」。偉大な映画人の先輩がつないできた日本映画のバトンを、岡田はしっかりと受け止めた。【村上幸将】