デビュー2年目を迎えた8人組和風ロックグループ、和楽器バンドが14日夜(日本時間15日)、米ニューヨークのアービング・プラザで初の米国単独公演を行った。箏(そう)に尺八、津軽三味線、和太鼓などの演奏をバックに、ボーカル鈴華ゆう子の美声が響き渡った。世界のエンターテインメントが集まるニューヨークだが、異色ステージにニューヨーカーもカルチャーショックを受けた様子だった。

 和楽器バンドは「今こそ詩吟や舞踊、和楽器の素晴らしさを世界に浸透させたい」として、東京五輪でのオープニング・アクトを目指して結成された。

 ニューヨークでは約1000人が収容できる会場は地元の音楽ファンたちで大盛況。20代女性ファンは「彼らのパフォーマンスはYouTubeなどでも見て知っていたが、生のステージは想像以上の迫力だった」と興奮さめやらぬ面持ちだった。パリでの「JAPAN EXPO 2014」の参加はあるが、単独ライブは昨年5月の台湾公演以来。しかも、今回はマドンナやレディー・ガガらのコンサートを手掛ける米最大のコンサート制作会社「ライブ・ネーション」から依頼された。

 日本文化として全世界で話題となった「千本桜」で幕を開けたステージは、テレビアニメ「戦国無双」のオープニング曲「戦-ikusa-」、ゲーム「太鼓の達人」に使われている「華振舞」へと続き、さらにアニメ「進撃の巨人」でも知られる「反撃の刃」など17曲を約2時間にわたって披露した。

 メンバーは「想像以上の感触だった」と手応えをつかみ、「このライブを機に今や世界標準語となっている“SUSHI”や“KARAOKE”のように“WAGAKKI”という単語も海外に浸透させたい」と話した。

 今月17、18日には米テキサス州で行われる「ライブネーション・ショーケース・ライブ」への出演も決まった。

 日本では、23日にライブDVD「和楽器バンド 大新年会2016 日本武道館-暁ノ宴-」を発売。さらに4月23日にはZepp nagoyaを皮切りに全国9都市で全10公演のツアーもスタートする。メンバーは「日本文化のカッコ良さを世界にアピールしたい」と声をそろえた。

 ◆和楽器バンド 13年、鈴華ゆう子(ボーカル)いぶくろ聖志(箏)神永大輔(尺八)蜷川べに(津軽三味線)黒流(和太鼓)町屋(ギター)亜沙(ベース)山葵(ドラム)によって結成。14年4月にメジャーデビュー。デビューアルバム「ボカロ三昧」に収録された「千本桜」は、プロモーションでアップされたYouTubeの再生回数が3500万回にも達した。昨年発売したセカンドアルバム「八奏絵巻」はオリコン初登場1位で、昨年の「第57回輝く!日本レコード大賞」で“企画賞”を受賞。