作家で元東京都知事の石原慎太郎氏(83)が作詞し、五木ひろし(68)が作曲・歌唱する新曲「思い出の川」の発表会が12日、都内で行われた。石原氏は91年にペギー葉山(82)とのデュエット曲「夏の終わり」以来、25年ぶりに作詞を手がけた。今日13日発売。

 関係者によると、ともに東京・田園調布に住みながら普段会う機会のない2人が昨夏、飲食店で12年ぶりに再会。会話が進む中で、石原氏が「以前に作った歌詞がある」と言い出し、五木がメロディーをつけて「思い出の川」が完成した。「この年になるとね。周りの人がみんな死んでいく」と自虐ジョークを飛ばした石原氏は、「人生は川の流れのようなもの」との思いを詞に込めたと説明。それを五木が語るように歌唱している。

 石原氏は「本当にうれしい」「歌がうまい」「作家冥利(みょうり)だ」と何度も絶賛し、五木は「とても幸せ」と感激し、目を潤ませ、声を詰まらせた。五木の手元には石原氏が作詞した作品がもう1つある。石原氏は「作詞が僕で、五木さんが作曲して売れないわけがない。両方とも売れますよ」と太鼓判を押した。

 芥川賞作家と歌謡界の大御所がタッグを組んで生まれた「思い出の川」。長良川艶歌、千曲川などタイトルに「川」のあるヒット作のある五木に、新たな代表曲が生まれた。【松本久】