来年2月の退団を発表した宝塚歌劇団花組トップ娘役、花乃(かの)まりあが2日、兵庫県宝塚市の同劇団で会見を開き、相手役を務めてきた花組トップスター明日海(あすみ)りおに「一番の理解者でした」と感謝した。

 花乃は昨夏、台湾公演に参加し「世界のお客さまに宝塚の魅力を届けられて幸せ」と感じ、同年末、明日海に退団を考えていることを相談したという。

 「しっかりと話を聞いてくださり、明日海さんは『自分の人生なんで、一番いい道をゆっくり考えなさい』とおっしゃってくださった」と、振り返った。

 花乃は10年入団の96期生。宙組に配属され、12年「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」新人公演で初ヒロイン。14年3月に花組へ移り、同11月にトップ娘役へ就いた。

 「組替えで花組へ移って、トップ就任が発表されて、そのまま公演に出ている時期が一番、不安でした」

 この頃、明日海にも苦しみを打ち明け、相談していた。その明日海自身が育った月組を離れ、花組へ移ってトップに就いただけに「(明日海が)同じ気持ちといいますか、一番の理解者でした。私も気持ちも伝え、考え方も教わりました」と感謝の言葉を続けた。

 花乃は、花組移籍後初の本拠地作だった「エリザベート」(14年9月)新人公演でヒロインを務めており、同公演の本公演が終了したとき、明日海から手紙をもらったと明かした。

 その手紙には「私(明日海自身)も、トップ(就任)が発表されて、実際、トップに就くまでは苦しかった。それは私が、一番分かっている。これからは、一緒にいい舞台を作っていきたいから、厳しいことも言うかもしれないけど、ついてきてほしい」と書いてあった。

 花乃は「あの手紙をいただき、涙が止まらなかった」と言い、劇団最古の花組でトップをはり、100周年後の劇団にあって、そのけん引役に期待されていた明日海に「全力でついていく」と心に決めたという。

 明日海とは15年1月の「アーネスト・イン・ラブ」からトップコンビを組み、7月31日に東京公演千秋楽を迎えた「ミー・アンド・マイ・ガール」まで、ここまで6作でコンビを組んでいる。

 名作「-マイ・ガール」では、下町で生まれ育ったサリーを好演。トリックも操り、難役に臨んだ明日海を支え、公演を成功に導くことに一役を買った。

 花乃は「明日海さんと一緒にまだまだいい舞台を作り、最後まで、また新しい気持ちで、最後まで駆け抜けていきたい」と話し、明日海への恩返しも誓った。

 花乃は今年11月11日に兵庫・宝塚大劇場で開幕し、来年2月5日に東京宝塚劇場で千秋楽を迎える「雪華抄」「金色の砂漠」で退団する。

 また、退団後については「まだ何も考えていない。宝塚人生をまっとうしてから、ゆっくり考えたい」と話した。