8月の舞台公演中にセリから転落して大けがを負った歌舞伎俳優市川染五郎(39)が17日、都内のホテルで事故後初めて会見した。

 グレーの羽織はかまで正装した染五郎は、セリから転落した当時の状況について「意識はあったが、正直、記憶が定かではない」。自身が構成、演出をした演目でもあり「何が原因か分からないが、基礎的な部分でミスをした。思えば思うほど情けないことをした」と振り返った。骨折で済んだことが「奇跡」とされるが「奇跡かどうかは、これから舞台に立って出した結果次第だと思います」。

 染五郎は8月末に東京・国立劇場で行った舞踊会で、舞台セリから約3メートル下に転落した。あばら骨や右腕など、骨折した部分の完治を目指し、リハビリを行っている。右腕はプレートがはめ込まれており、ベルトで固定している。「何もできないということがどれだけつらいか実感しました」。家族の支えに感謝し、この舞台でデビューした長女(5)に対し「申し訳ない経験をさせてしまった」と語った。

 仕事復帰は12月のNHK・BS時代劇の収録からとなり、来年2月に父松本幸四郎と共演する日生劇場公演で舞台復帰する。セリへの恐怖は「まったくない」とし「セリに対して申し訳ないんで」と笑顔で結んだ。