科学者で、発明家として知的財産権に詳しいドクター中松(85)が16日夜、都内で行われた著書のPR会で、STAP細胞論文に関する一連の問題に「まじめにやれ」と苦言を呈した。

 理研の小保方晴子ユニットリーダーの論文について「多数の人がかかわったことでミスが生じることは当然あると思うが、論文に妙な加工をしたり、ごまかしたり。もっとまじめにやってほしい」。自身の小学校から東大在学時までの発明や実験ノートを公開した著書「ドクター中松の発明ノート」を示し「特許に出さないものも含め、私は数十冊の実験ノートを書いてきた。書くことが証拠となる」。実験ノートが4、5冊という小保方氏との差を強調した。

 一方で、知財に精通する中松氏は、STAP細胞の作製には「コツがある」として詳細を明かしていない小保方氏について「知財を守るために当然のこと」と好意的。論文を撤回しないという主張についても「撤回すると、研究自体が間違いでしたということになる。私ならもう少し見守る。結論を出すのは早い」と理解を示した。

 この日会見した、小保方さんの上司で共同執筆者の笹井芳樹氏の言い分については「自分は責任がないと言っている。理研の組織や自分の身を守るためには『撤回』となるわけで、小保方さんとは立場が違う」。ネイチャー誌への論文発表も「特許を出すまでは、私ならしない」とし「人類に役立つためというより、ノーベル賞ねらいの勇み足。予算をつけてもらうとか。科学者として、まじめじゃない」と断じた。