今年7月に初期の食道がんが見つかり、手術を受けたサザンオールスターズの桑田佳祐(54)が、大みそかの「NHK紅白歌合戦」での復帰に向け動き始めたことが29日、分かった。NHKが極秘裏に交渉を進めているという。桑田は10月、自身のラジオ番組で、スタジオ入りしリハビリを兼ねて歌い始めたと報告している。出演が決定すれば、退院後公の場で歌唱する初のステージとなることは確実。紅白の歴史に残るサプライズとなりそうだ。

 初出場が5組と新鮮味にかけると思われていた紅白歌合戦だが、NHKはサプライズに向け動き始めていた。現在、桑田の出演に向けて水面下で慎重に交渉を重ねており、桑田サイドも出演に向け前向きに検討に入っているという。関係者によると、歌唱はもちろん、中継を含めた演出面の打ち合わせも始めたとみられ、出演はかなり現実味を帯びてきている。桑田はかつて、サザンとして79年、82年、83年の紅白に出場している。今回の出演が実現すれば4回目となる。

 桑田は今年、全国ツアーと8年ぶりのオリジナルアルバム発売を控えていたが、7月12日に初期の食道がんが見つかった。アルバムは4曲のレコーディングを残していたが、8月2日に手術を行い、同22日に退院した。術後の経過も良好で、退院の際は「術後の発声面や声質の変化、また最悪は出なくなるといった心配もございましたが、声に関しても結果、何の影響も残さないという治療をしていただきました」とコメントしていた。その言葉通り、10月にはレギュラー出演しているラジオ番組で、アルバムレコーディングを再開しリハビリを兼ねて歌い始めたことを報告していた。

 テレビ関係者によると、桑田は復帰を模索した際、応援しているファン全員に元気な姿を見せたいと考えていたという。ライブやイベントでは、会場の収容人数に限界がある。日本全国だけでなく、海外でも放送されている紅白歌合戦のステージは、ファン全員に元気な姿を見せることができる絶好の機会でもある。そんな背景もあり、NHKからの強いオファーを受け、サプライズ出演の検討に入ったようだ。

 昨年の紅白歌合戦では、還暦を迎えた矢沢永吉(61)と英歌手スーザン・ボイルが出場枠ではない「特別出場歌手」として出演し、話題になった。今年の出場者発表の会見では「昨年のようなサプライズはあるのか」との質問に、NHKは「現段階では考えていない」と説明していた。今年を盛り上げたK-POPの歌手の出場もなく「目玉なしか」ともささやかれていた紅白だが、裏ではビッグサプライズに向け、桑田との交渉が極秘裏に進められていた。

 昨年の矢沢は「時間よ止まれ」「コバルトの空」の2曲を歌っている。桑田も1曲だけではなく、複数曲を歌う可能性が大きい。出演が正式に決まれば、復帰を心待ちにしているファンはもちろん、日本中が明るい年越しになりそうだ。

 [2010年11月30日7時39分

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