吉本興業の大崎洋社長(58)が4日、大阪市内で年頭あいさつを行い、昨年8月に暴力団幹部との親密交際が発覚し、芸能界を引退した元タレント島田紳助さん(55)の復帰を希望する発言をした。社会やファンの理解を得た上と前置きした上で、「いつの日か吉本興業のもとに戻ってきてくれるものだと信じております」と言及した。創業100周年プロジェクト発表会見の場で、自ら島田さんについて切り出した大崎氏。将来的には復帰を許可する考えを明らかにした。

 今春、創業100周年を迎える吉本興業。各担当者が15の新プロジェクトを次々に発表し、トリで登壇した大崎氏は、締めのあいさつを行った。その最後で、自ら「あと、もう1つ…」と、島田さんについて語り始めた。

 「私たちは彼の才能を惜しむものであります。願わくば、社会の皆さま、ファンの皆さま、マスコミの皆さまのご理解を得て、いつの日か私ども、吉本興業に戻ってきてくれるものだと信じております」

 大崎氏は、こう復帰願望を口にし、続いて「この思いは、私たち全社員、全タレント、全芸人の思いでもあります。どうかご理解をいただきたいと思います」と、理解を求めた。

 島田さんは昨年8月、暴力団幹部との親密メールが発覚。社会的責任を取っての引退を同社に申し入れ、大崎氏らが了承した。暴力団排除条例の施行で、芸能界での暴力団排除の動きが強まる中、島田さんは突然の引退会見を行い、完全に表舞台から消えた。

 ただ、島田さんは同社の東京進出を明石家さんま、ダウンタウンらとともにけん引した功労者。大崎氏は同社の東京事務所開設時の社員で、2人は“戦友”でもあるだけに、この日の発言につながったようだ。

 とはいえ、大崎氏と島田さんの間で、復帰をめぐるやりとりは「一切ない」といい、大崎氏は、島田さんに復帰意思があるか否かを確認したこともないという。「たまにメールは来るし、僕も返すけど、復帰とかの話は一切(つづって)ない」。島田さんからのメールは、在住する沖縄に、東京から知人が来て、励まされたというようなたわいない内容が多いそうだ。

 現状では「本人に復帰の意思があってからの話」(大崎氏)で、具体的なプランがあるわけでもない。ただ一方では、100周年のメモリアルイヤーの今年、本来なら島田さんは中心的存在であったのも事実だ。突然の引退劇となった島田さんの心中を察して、大崎氏は「さんまももったいないと言ってくれた」と、島田さんのもう1人の盟友の名前も持ち出し、将来的な復帰願望を繰り返した。

 ◆島田さん引退

 昨年8月23日、暴力団幹部との親密交際が発覚し、夜に緊急会見を開き、同日引退を表明した。テレビレギュラーすべてを降板した。引退後、引き金となった人物とは別の暴力団幹部と一緒に写っている写真や、沖縄で暮らしている様子の写真などが、写真誌に掲載された。復帰をめぐっては、引退直後、いち早くさんまがラジオ番組で「帰ってきたらいい」と発言している。また、週刊誌の記事で名誉を傷つけられたとして、島田さんと吉本興業は共同訴訟で、複数の出版社に対し損害賠償を求めている。