3日に死去した大手芸能プロ「長良グループ」会長の長良じゅんさん(享年74、本名・神林義忠)の本葬が22日、東京・青山葬儀所で営まれた。所属歌手の氷川きよし(34)は「悲しい歌でも笑顔で歌いなさい」という生前の教えを守り、涙をこらえて参列。笑顔の遺影に向かって手を合わせ「会長の魂は僕の心の中に永遠にあります」と語りかけた。義理人情に厚かった長良さんに最後の別れを告げようと、芸能関係者ら約5000人が訪れた。

 祭壇にバラやカーネーションなど白い花6万本が飾られ、中央には親族の総意で「笑顔が最高にいいものを」と選んだ遺影が飾られた。ハワイのゴルフ場で2日(日本時間3日)に事故に遭った突然の悲報を、誰もがあらためて疑うような、生き生きとした表情だった。戒名は「泰清院殿慈潤徳峰義忠大居士(たいせいいんでんじじゅんとくほうぎちゅうだいこじ)」。意味は「義理人情厚く、慈悲深い、尊敬され大いなる存在となった」。遺影の笑顔にそれがあふれた。

 会見した氷川は「悲しい歌でも笑顔で歌いなさい、と叱られたことがありました。会長の魂は僕の心の中に永遠にあります」と話した。レッスンを積んでも女性演歌全盛でデビューできず、故郷の福岡に帰ろうと思っていた時、氷川の歌を聞いた長良さんが「俺がやる」と決め、演歌の貴公子は生まれた。長良さんの教えをノートに書き留めてきた氷川は「会長は氷川きよしのすべてです。人として最高の振る舞いのできる氷川きよしになりたい」と、涙を見せずに話した。

 長良さんが初めてマネジャーを務めた雪村いづみ(75)は「17、18歳のころ、人ごみの中をおんぶやだっこして歩いてくれた。私は悲しまないようにしています。だって私の心の中では永遠の方ですから」と笑みを浮かべながら話した。

 所属女優の中村玉緒(72)は「(笑顔が)いい遺影でした」と言い、長良さんが、夫で俳優の故勝新太郎さんや歌手の故水原弘さんの思い出をいつも楽しそうに話したことを明かした。「その時の顔にそっくりだった。私も泣かないぞと思ったのですが…」と言葉を詰まらせた。歌手天童よしみ(57)は「(誰にでも)いつも笑顔で接するように」と教えられ、信条にしている。

 「多くの人にお別れをしてほしい」という喪主で長男の神林義弘社長らの意向で弔辞などのセレモニーは省かれた。それでも最後の焼香まで3時間半を要したが誰もが雨の中、待った。「いつも、ありがとう」が口癖だった長良さんの笑顔に手を合わせるために。【笹森文彦】

 ◆主な参列者

 青木功、赤坂泰彦、秋元康、阿木燿子、浅香光代、綾小路きみまろ、IKKO、石田純一、石橋貴明、岩佐美咲、岩城滉一、内田裕也、内館牧子、梅宮辰夫、大信田礼子、大村崑、小倉智昭、柏木由紀子、加藤和也、加藤茶、川中美幸、河村隆一、岸本加世子、北島三郎、グッチ裕三、小泉孝太郎、小林亜星、西郷輝彦、ささきいさお、佐々木主浩、佐藤蛾次郎、里見浩太朗、沢田雅美、志村けん、ジェロ、せんだみつお、高木ブー、田川寿美、多岐川裕美、舘ひろし、立花理佐、千葉真一、つんく♂、天童よしみ、徳光和夫、鳥羽一郎、中村玉緒、仲本工事、中山秀征、野口五郎、橋幸夫、服部克久、林家三平、ビートたけし、氷川きよし、平尾昌晃、細川たかし、堀内孝雄、古舘伊知郎、前田耕陽、松浦亜弥、松平健、松本零士、マリアン、水森かおり、三船和子、宮本隆治、森進一、八代亜紀、山川豊、山本譲二、山本リンダ、湯川れい子、雪村いづみ、ラモス瑠偉、若山騎一郎、和田アキ子(敬称略)