「R-1ぐらんぷり2013」が12日、東京・台場のフジテレビで行われ、三浦マイルド(35)が初優勝した。決勝ラウンドでは審査員7人全員から投票され、完全優勝を果たした。R-1第1回大会から全て出場。年収約30万円の芸歴13年目の苦労人が栄光をつかんだ。

 若ハゲの三浦が、初優勝を果たした。トロフィーを持ちながら目に涙をため、「ずっと、アルバイトしながら芸人してて、うそみたいです」。会見でも「楽しみよりも、これから自分がどうなるんやろうという不安の方が大きいです」と信じられない様子だった。

 戦前、スギちゃん、キンタロー。の一騎打ちが期待された。視聴者の関心、メディアでの話題も2人ばかり。その状況を快くは思っていなかった。「2人とも見てろよ、と思ってました。自分が一番面白いと。大会が終われば『三浦マイルドここにあり』と言われると思ってた」。

 ブロックステージでは「広島弁講座ネタ」で会場を沸かせた。決勝ラウンドでは「道路交通警備員ネタ」で変化をつけた。大学時代に経験したアルバイト。実在するアルバイトの先輩「西岡さん」の名言集を紹介し、「5万円貸してくれ~」と言われたことを告白。事実に基づいたネタで「『タイ旅行中にパスポートと財布を盗まれたので口座に5万円振り込んでほしい』と言われました。生粋の詐欺師です。許せない人物だからネタとしてやらせてもらった」と振り返った。

 絵に描いた苦労人だ。生まれてすぐに両親は離婚し、女手一つで育てられた。芸人になる際も反対された。それでも決勝前は「頑張ってこい」と励まされた。母美奈枝さん(65)には親孝行として優勝賞金500万円の半分を渡すという。

 芸人としての年収は約30万円。週4日、1日8時間、時給870円で伊藤ハムの販売員として働く。持ちギャグ「マイルドフラッシュ」など、若ハゲネタを封印した理由を聞かれると、「ネットとかで、それしかないと思われているのでやめた」。外見でなくネタの内容で見事、初の栄光をつかんだ。【三須一紀】

 ◆三浦(みうら)マイルド

 本名・三浦健一。1977年(昭52)10月18日、広島県生まれ。甲子園大を卒業後、大阪NSCに23期生として入学。同期は友近、ムーディ勝山ら。00年にデビュー。02年からピン芸人。03年からハゲ始めた。R-1グランプリでは11年の準決勝進出が最高。たばこの「ラークマイルド」が好きだったため、この芸名になった。ももクロファン。独身。160センチ、79キロ。血液型O。

 ◆R-1ぐらんぷり

 ピン芸人日本一を決めるお笑い大会。02年から始まり今年で11回目。02年は座布団の上での漫談だったが、03年から規定がなくなり、音響なども使用可能となった。今年は過去最多の3684人がエントリー。優勝賞金は500万円。