8月6日から上演予定だった土屋アンナ(29)の初主演舞台「誓い~奇跡のシンガー」(東京・草月ホールなど)が公演中止になったことが29日、分かった。主催者によると、土屋が予定していた稽古に参加しなかったため中止を決めたという。土屋側に3000万円の損害賠償も請求している。土屋側は、原作者から「台本も見ておらず、承諾もしていない」と言われたことから、問題が解決するまでは稽古に参加できないと制作側には伝えていると言い、制作側の言い分に困惑しているという。

 舞台「誓い~奇跡のシンガー」を制作するタクトは「土屋が稽古に11回参加するとの約束も最初の2回のみで、16日以降は姿を見せなくなった。そのことが原因で同公演を開催することができなくなった」と中止に至った経緯と理由を説明した。稽古は7月2日に始まったが、土屋は2回参加した後、「テンションが下がったから」という理由で稽古場に姿を見せなくなったとしている。それでも、23日から稽古に出ることになったが、不参加が続き、25日に話し合う予定もあったが、それもキャンセルされたとしている。「先週いっぱい待ったが、何の連絡もなかったので公演中止を決めた」という。関係者によると、制作費は3000万円。タクトは「公演中止で信用も損なわれており、弁護士と相談して損害賠償訴訟を含めて法的な措置を検討しています」という。

 土屋側もこの日、マスコミ各社に経緯を説明する文書を送った。舞台「誓い~奇跡のシンガー」の原作は原因不明の病気と闘いながら歌手活動を続ける浜田朝美さんのベストセラー自伝「日本一ヘタな歌手」。今年5月には、土屋も出席した制作発表も行われていたが、7月16日に浜田さんから「台本も見ておらず、内容が分からない」という手紙を受け取り、浜田さんが舞台化を承諾していないことを知ったという。

 これを受けて制作側に「浜田さんときちんと話をした上で承諾を得たという回答がほしい」と申し出た。さらに回答がない段階で稽古に参加はできないと制作側に伝えた上で、稽古をボイコットしたという。制作側は、土屋が無断で稽古を休んだとしているが、土屋側はこれを否定。「本日、一方的に公演中止の決定と損害賠償請求の書面が届き、事実無根の内容にただただ困惑しております」としている。浜田さんのもとに台本が届いたのも数日前のことだという。関係者は「浜田さんの戸惑いや思いを考えると、稽古に参加することはできなかった」としている。

 制作側は「原作者の許諾を得ないまま舞台化するなど考えられない」としており、土屋側の主張と食い違っている。