俳優野村祐人(39)が、母で演出家・作詞家の奈良橋陽子氏(64)らと共同でハリウッド映画「Emperor(仮題)」を製作していることが4日、分かった。日本の現役俳優が、ハリウッドのメジャー映画をプロデュースするのは初めて。作品は太平洋戦争直後の日本が舞台のヒューマンストーリーで、映画「真珠の耳飾りの少女」(03年)「ハンニバル・ライジング」(07年)で知られるピーター・ウェバー監督(43)が現場の指揮を執る。

 日本アカデミー賞最優秀作品賞「壬生義士伝」や、「蒼き狼」などで活躍してきた俳優歴25年の野村が、ハリウッドで大仕事をする。共同製作者は奈良橋氏と、トム・ハンクスとメグ・ライアンの大ヒット恋愛映画「めぐり逢えたら」(93年)を製作したゲイリー・フォスター氏だ。

 構想が浮かんだのは3年前。6年前から米国に住む野村は「奈良橋とともに世界に通用する作品、演技を目指してきたのですが、この作品が具体的な第1歩」と話す。2人で「これは日本ではなく、ハリウッドでやるべき」と決め、約2年かけて脚本を練り上げた。この本に興味を持った製作・配給会社とも交渉を重ね、現場の指揮を今春にスカーレット・ヨハンソン主演「真珠の耳飾り-」を手掛けたウェバー監督に任せるに至った。

 奈良橋氏は、日米両国の芸能界の裏舞台で長く活躍してきた。ゴダイゴの曲「ガンダーラ」や「モンキーマジック」を作詞。主宰の演劇事務所では、藤田朋子、今井雅之、別所哲也らを、設立した俳優養成所では、オダギリジョーを発掘した。近年はトム・クルーズと渡辺謙の「ザ・ラスト・サムライ」や、ブラッド・ピットと菊地凛子の「バベル」などハリウッド映画のキャスティングも手掛けていた。

 奈良橋氏と野村の母子が自信を持つ今作は、太平洋戦争直後の日本が舞台で、昭和天皇の戦争責任を判断するマッカーサー元帥と、米国にいた日本人交換留学生が軸となる。英国で脚本を読んだ同監督は、自費で米国に渡り、監督選考の面接を受けたほどで「こんな素晴らしい脚本は『真珠の耳飾り-』以来。2つの異文化が織りなす壮大で美しいストーリーだ」と力を込める。野村も「この映画は、日本人が次世代に伝えていかなければならない話になるはず」と力説した。

 来年1月にニュージーランドでクランクインし、日本でも撮影の予定。日本人俳優が初めてプロデュースするハリウッド映画は今後、国内外で注目を集めそうだ。