第25回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛)が6日、決定した。「北のカナリアたち」などに出演した森山未來(28)が助演男優賞を受賞した。

 森山は「僕にとって1つの集大成になった気がします」と振り返った。殺人事件の容疑者で、吃音(きつおん)の青年、信人を演じ、演技力と存在感が高く評価された。「僕の受賞というよりは、作品の評価の延長にある受賞。今っぽくなく、不思議なにおいを持つ、この映画が2012年にしっかりと届いて、評価されての受賞はうれしい」。

 吉永小百合と初共演だった。「昔から見ている大女優。しっかりとぶつかっていけばいいと思った。信人にとって、先生以上の存在。すごく温かく受け止めてもらった。撮影で霜焼けになったりしたが、温かい気持ちでいられた」。

 吃音役は初めて。阪本順治監督からは、市川雷蔵が吃音に悩む青年僧を演じた映画「炎上」のDVDを渡された。「吃音と言っても程度も違えば、状況も違う。信人がなぜそうなったのか、キャラクターをたどって、役作りした」。松田龍平、勝地涼、小池栄子、満島ひかりとは何度か共演し、気心の知れた仲間。北海道・礼文島の撮影は今年1月、マイナス20度の厳寒の中、約2週間に及んだ。「何もないところだけれど、一緒に泊まり、みんなと一体感があった」。

 今年は「苦役列車」「ALWAYS

 三丁目の夕日64」「セイジ~陸の魚」と合わせて4本の映画に出演し、舞台では海外公演を行った「テヅカ」や「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」にも出演した。「今年はいい感じで面白いことができた。これから先ももっと面白いことをやっていきたい」。【林尚之】

 ◆北のカナリアたち

 日本最北の島にある麗端小学校岬分校の教師、川島はる(吉永小百合)と生徒6人の間で悲劇的な事故が起きた。はるは夫を亡くして島を追われ、「天使の歌声」を持つ6人の生徒もまた罪の意識を抱えて生きていた。20年後、はるは都内の図書館で司書をしていたが、教え子の鈴木信人(森山未來)が事件を起こしたと知る。はるは北海道へ渡り、教え子を相次いで訪ねる。

 ◆森山未來(もりやま・みらい)1984年(昭59)8月20日、兵庫県生まれ。99年舞台「BOYS

 TIME」でデビュー。01年「さよなら、小津先生」で連続ドラマ初出演。04年映画「世界の中心で、愛をさけぶ」でブルーリボン新人賞。映画「フィッシュ・ストーリー」「モテキ」に主演。来年は1月に舞台「100万回生きたねこ」に主演、アニメ映画「聖☆おにいさん」で声優初挑戦。