アニメ映画「ドラえもん

 のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)」(寺本幸代監督)が9日、初日を迎えた。各所で大入りとなり、33作目にしてシリーズ最高興行収入(興収)の40億円突破が確実な状況になった。「春の子供向け映画」として定着してきたが、「ひみつ道具」を前面に押し出した作品内容で、父親を中心とした成人男性層の支持を受けた結果とみられる。

 ドラえもんが、さらに記録を更新した。東宝によると、初日興収は、過去32作で最高の36億2000万円を記録した昨年の「奇跡の島」との対比で、136%を記録。公開スクリーン数は359から353に減っているにもかかわらずだ。

 この日、声優陣らによる初日舞台あいさつが行われた東京・TOHOシネマズ日劇では、父親と小学校高学年くらいの息子のペアが多く見られた。ドラえもんのコスプレをした大人の男性グループの姿もあり、男児と声を1つに壇上へ「ドラえも~ん」と熱いエールを送った。母親と幼児が大半だった昨年までとは、明らかに違う光景だった。

 1980年(昭55)の第1作「のび太の恐竜」から33年。未来のネコ型ロボット・ドラえもん(声・水田わさび)のひみつ道具を使い、のび太(声・大原めぐみ)ら子どもたちが夢をかなえる世界観は、漫画からテレビアニメ、スクリーンに場所を移しても子どもたちに支持され続けた。原作の藤子・F・不二雄氏(享年62)は96年に亡くなったが、後継者がその世界を守り続け、作品の質も維持されている。

 今年の映画は、盗まれたドラえもんの鈴を取り戻すため未来の“ひみつ道具博物館”に一行が旅立つ物語で、今まで語られなかったひみつ道具の謎が明らかになる。配給の東宝関係者は「作品の最大の魅力である、ひみつ道具が前面に出た作品で、子どもの頃にひみつ道具で胸をワクワクさせたお父さんが、子どもと一緒に見に来ているのが一因だと思います」と好スタートの要因を分析。同関係者は「大人の男性にも楽しめる物語にもなっています」と自信を見せた。

 [2013年3月10日7時8分

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