J1は第1ステージ(S)が終了し、中断期間を挟まないまま、7月2日から第2Sが始まります。第1S優勝は鹿島でしたが、第2Sはどうなるのか。他チームの追い上げも気になるところです。8月にはリオデジャネイロ五輪もあり、多くの若手が注目され、横浜もFW富樫敬真(22)やMF遠藤渓太(19)ら多くの若手が1年目ながらJ1デビューを果たしています。

 DFパク・ジョンス(21)もその1人。韓国籍で顔は韓流スターのようなイケメン。笑顔がとてもチャーミングで、見ている側も自然と笑顔になれます。パクは、昨年9月22日から横浜の練習生として加わり、今季正式に加入しました。身長188センチで高校まではボランチ、大学からセンターバックを主戦場としていました。力強いヘディングと正確なパスさばきが持ち味です。

 パクについてMF中村俊輔(38)が、シーズンが始まる前の1月20日の練習試合後にこんなことを言っているのを思い出しました。

 「パクはもっと良い力を持っているからボランチで伸びると思う。シーズン中に絶対力になる選手だと思うから」

 一緒にピッチでプレーしたのはたった20分間。それでも中村の目には光るものが見えていたのでしょう。その後、パクは3月23日のナビスコ杯川崎F戦で出場機会を得ると、全試合に出場し、決勝トーナメント進出に貢献。実力が認められると5月14日の鹿島戦でボランチとしてJ1初出場も果たしました。試合前に「(ボランチは)高校までの話なので自分でも思い出さないといけない」と話していましたが、初出場とは思えぬ堂々とした試合運びを見せていました。そして、5月30日の柏戦ではCKの流れからヘディングでプロ初ゴールも記録しています。

 パク選手は、昨年U-23韓国代表にも招集された経歴がありますが、本大会のメンバー入りはかないませんでした。それでも「今、大切なのはマリノスで試合をすること。きっちりプレーをしてA代表にいつか呼ばれたら」と青写真を描いています。昨年まではほとんど観客もいない大学リーグでプレー。今年からは見渡せば多くのサポーターが応援している。環境ががらりと変わっても、堂々とプレーできるのは、サッカーをする喜びが緊張を上回るからでしょう。

 ピッチ外でも努力を惜しみません。日本語を懸命に学び、仲の良いDF下平匠(27)も「あいつはもう1人でも大丈夫」と、太鼓判を押すほど堪能になったと言います。第2Sも定位置獲得に向けて奮闘することが、チームの復調の鍵になるかも知れません。


 ◆青木沙耶香(あおき・さやか)1992年(平4)8月29日、東京都生まれ。上智大を経て15年東京本社に入社。5月からスポーツ部サッカー担当に配属。今季はJ1横浜と大宮を担当。パクによると、MF中村は韓国でも人気で「韓国の朴智星、日本は俊輔というくらい有名」。