【武漢(中国)7日】男子日本代表のMF武藤雄樹(26=浦和)が、師と仰ぐ元日本代表FW柳沢敦氏(38=鹿島コーチ)のエールに応える。ともに11年から14年まで仙台に在籍し、武藤にとって柳沢は点取り屋の極意を教えてくれた人。2度のW杯に出場した万能型アタッカーの教えを胸に、出場が濃厚な明日9日の東アジア杯最終戦・中国戦で、史上5人目の代表デビュー2戦連発(出場試合)を目指す。

 2日の北朝鮮戦で代表デビュー弾を決めた武藤に、師匠からエールが届いた。

 柳沢氏 ここからの積み重ねが大事。攻撃を仕掛ける部分は自分より全然うまかったし、代表でも貴重。思う存分これからも特長の仕掛けを発揮してほしい。

 ともに11年から4季、仙台でプレーした。今はライバルクラブの指導者となった恩人からの、垣根を越えたメッセージ。受け取った武藤は「うれしいですね。ヤナギさんの動きを見て学び、盗んで、自分は成長してきたので」と感謝する。

 入団1年目の武藤はドリブル一辺倒だったが、日本屈指の万能型FWだった柳沢氏と出会い、パスを引き出す動きの質が向上した。周囲と連動して生かし生かされる技術、オフ・ザ・ボールの動き、周囲への目の配り方。練習や試合で細かくアドバイスしてくれた。

 仙台時代は柳沢氏が先発し、武藤と途中交代することが多かった。そこが飛躍の助走になったと柳沢氏は見る。「少しずつ出番をもらう下積み時代があったから今がある」。短い時間、少ないチャンスで結果を求められる日々に向き合ってきた武藤。浦和に移籍した今季、リーグ戦9得点+代表1得点。計10点のうち9点をワンタッチで決めてきた。その勝負強さも、国際Aマッチ58試合17得点の師匠から学んだものだった。

 史上最速の開始3分でデビュー弾を決めてから中5日。韓国戦を休み万全に仕上がった武藤は、中国戦での先発復帰も予想される。デビュー2戦連発(出場試合)となれば史上5人目。「自信がついた。もちろん次も狙っていく」というゴールで勝利に導き、柳沢氏への恩も返す。【木下淳】