G大阪のMF井手口陽介(20)が4日、日本代表に初選出された。定評のあったボランチとしての守備だけではなく、ハリルホジッチ監督から急激に進化する得点能力を認められた。8月にはリオデジャネイロ五輪に日本最年少で出場した20歳が、W杯アジア最終予選で苦しむ代表の救世主になる。

 成長が止まらない井手口が、とうとう日本代表の座をつかんだ。G大阪ユース時代に飛び級のトップ昇格を果たしたプロ3年目。各世代別代表の常連が、初のA代表に「驚きはあったが、選ばれたからにはしっかりと結果を残せるよう頑張る」と意気込んだ。

 ハリルホジッチ監督から太鼓判を押された。この日の会見で「得点を取るし、本当に前に行く。左も右(足のシュート)も質が高い。最近の(J1の)試合で素晴らしいゴールを決めた。どんどん伸びている」と大絶賛。会見で1人を褒めちぎるのは珍しく、唯一の初招集となった20歳への期待がうかがえた。

 中盤でのボール奪取力を評価されてきたが、元来は攻撃力が武器だった。小学1年でJリーグ福岡のスクールに入った。当時の位置はFW。02年W杯日韓大会で活躍した「(ブラジル代表)リバウドやロナウドが好きだった」。中学に進む際にG大阪下部組織に入団するため、介護士だった母亜紀子さんと大阪へ。プロ意識が極めて高かった。今季はG大阪で定位置を確保し、J1で22試合。しかも全4得点は最後の6試合で記録した。今夏のリオ五輪を契機に爆発的な攻撃力を発揮する。

 この日は、大阪・吹田市内で軽めの調整を実施。井手口は「ガンバやリオ五輪代表で得た経験が身について、今回の選出につながったのかな」。6月には長女愛希(ひなの)ちゃんが誕生し責任感も人一倍。やる気に満ちた20歳が、代表に新しい風を吹き込む。【小杉舞】

 ◆井手口陽介(いでぐち・ようすけ)1996年(平8)8月23日、福岡市生まれ。G大阪ジュニアユースからユースへ昇格し、高2で2種登録。高2の14年3月にFW宇佐美(現アウクスブルク)以来となるユースからトップへの飛び級昇格。同年4月16日ナビスコ杯鳥栖戦で公式戦デビュー。J1通算30試合4得点。家族は夫人と1女。171センチ、71キロ。