【アルアイン(UAE)22日】2年ぶりに日本代表に復帰したMF今野泰幸(34=G大阪)が、W杯最終予選UAE戦(日本時間24日未明)で先発起用されることが濃厚になった。この日は現地で非公開調整。関係者によれば、負傷離脱したMF長谷部主将の代役として、主力組に入った模様だ。34歳57日で迎えるUAE戦で得点すれば、93年スリランカ戦でMFラモス瑠偉(当時V川崎)が決めた36歳85日に次ぐW杯予選歴代2位の年長弾になる。

 一時は代表を諦めた男に、日本の命運が託される。勝てばW杯出場に前進し、敗れれば危機的状況に追い込まれる。完全非公開で行われたこの日の最終調整で、関係者によれば今野が先発組に入った模様だ。15年3月以来、2年ぶりに代表復帰したベテランは「初めての代表のような気持ち」と言いながらも、誰よりもその重要性を強調した。

 「運命の一戦という感じです。間違いなく大事な試合になる。勝ち点3を取れるかどうかで、W杯に行けるがどうかが決まる」

 消すことのできない悪夢がある。優勝すると信じて臨んだ14年W杯ブラジル大会。決勝トーナメント進出の可能性を残して臨んだ1次リーグ最終戦・コロンビア戦で、相手の先制点につながるPKを献上。敗戦の原因を作り「次の代表は全く考えられない。もう一生…。一気に老け込んで、サッカー人生が終わる可能性もある」と涙目で漏らした。代表引退も考えたに違いない。あの日から2年9カ月の歳月が流れ、再びW杯へ続く道に戻ってきた。

 長谷部の代役として、3ボランチの左に入ることが濃厚。任務は相手の司令塔O・アブドゥルラフマン封じだ。「彼からスルーパスが出る。反則をしないように抑えたい」。今季はG大阪でリーグ4戦2発と好調。UAE戦で決めれば、93年5月の1次予選スリランカ戦で当時36歳85日のMFのラモス瑠偉が得点したのに次ぐ、W杯予選歴代2位の年長弾になる。派手さはない。年輪を重ねた34歳が日本を救う。【益子浩一】