FW久保裕也(23=ヘント)の1得点1アシストでUAEにリベンジした。昨年11月のサウジアラビア戦に続く2試合連続の先発。本田圭佑を押しのけて右FWで先発すると、いきなりハリルホジッチ監督の期待に応えた。

 前半13分、右サイドバック酒井宏樹のスルーパスで抜け出す。相手DFをかわして前に飛び出すと、ペナルティーエリア内の右側でボールを受け、角度のない位置から反対側のサイドネットに突き刺した。うれしい代表初ゴールが貴重な先制点となり、両手の人さし指を突き上げて喜んだ。

 後半6分には、勝利を決定づけるアシストだ。ペナルティーエリアの右で左に切り返すと、利き足とは逆の左足で正確なクロス。ファーサイドの今野泰幸にドンピシャのクロスを上げ、追加点をお膳立てした。「1点目は、意外と冷静に打つことができました。やっとチームの勝利に貢献できた」と笑顔。2点目も「今野さんが見えていたので感覚で上げました」と完璧なクロスを振り返った。決勝点&ダメ押しアシストで、難敵をアウェーで破る立役者になった。

 久保は高校3年生だった12年2月、当時のザッケローニ監督にA代表に初招集された。19歳でスイスのヤングボーイズに移籍。昨夏のリオデジャネイロ五輪には、エースとして最終予選突破に貢献しながら、本大会には出場できない不遇を味わった。日本協会側は招集を求めたが、大会直前に負傷者が続出したヤングボーイズから招集を拒否された。久保不在が響いた手倉森ジャパンは1次リーグ敗退。非運のFWは、A代表に気持ちを切り替え、ロシアへの道を切り開いた。

 「初招集から5年がたちましたけど、自分には必要な時間だったと思う。いつか、と思いながら目の前の試合に集中してきた」。今はベルギーのヘントに身を移し、最近7戦5発でA代表の先発に定着した。「本田さんだけじゃなくて、上の世代に挑む気持ちでやらないと。ただ、追い越したとかそういう気持ちはないですね。まだこれから。危機感しかない」と気を引き締めた。

 昨年9月に1-2で敗れた時は、久保はスイスで映像を見ていた。今度はチームに勝利をもたらし「もっともっと結果を残していかないと。次のタイ戦でもチームに貢献したい」。大きな勝ち点3にも、23歳らしからぬ落ち着いた口調で振り返った。【木下淳】