【ドバイ(アラブ首長国連邦)22日】日本代表のDF安田理大(20=G大阪)が「KING」を目指す。成長株の安田は、W杯アジア3次予選バーレーン戦(26日)で代表2度目の先発の可能性がある。初のW杯予選出場に向け、各界著名人が頂点に上りつめる過程を描いた月刊誌「KING」(講談社)を今合宿に持参。成功例を参考に、決戦に向けた闘志を燃やした。

 安田はスーツケースに、さまざまな人間ドラマが記された1冊の雑誌をしのばせて前日21日にドバイ入りした。日本代表からも岡田監督やGK川口、さらに元代表のカズ(現横浜FC)らが紹介されている。「有名になりすぎても街を歩けなくなるから嫌やけど、W杯予選は夢の世界。届かないところにあったものが、ここにある。おれもキングを目指します」。魂の宿った1冊を、必死に読みふけった。

 練習に取り組む意識も高まった。この日の対人をつけた試合形式のメニューでは中盤の左に入り、果敢に中央に切り込んでシュートを放った。5対5のミニゲームでも豊富な運動量を生かしゴールへと迫った。2月の東アジア選手権で信頼をつかみ、攻撃的な中盤で先発する可能性もある。

 強心臓は既に「KING」の域だ。G大阪で出場したACL全南戦(19日、韓国)は1ゴール1アシストで4―3の逆転勝利に貢献。代表に合流するなり岡田監督に「おれのおかげで(G大阪)勝ちました!」と報告した。あとはW杯予選でも結果につなげるだけ。「プライドを持って戦いたい」。安田のサクセスストーリーは、中東の地から始まる。【益子浩一】