<J1:浦和2-1磐田>◇第5節◇5日◇エコパ

 浦和が“FW”闘莉王の活躍で今季初の連勝を飾った。アウェーの磐田戦で、後半途中ボランチからトップ下に変わった田中マルクス闘莉王(26)が、同26分にMF阿部の同点弾をアシスト。さらに同34分にヘッドで決勝弾を決めた。代表復帰が期待されるDFが高い得点能力も披露した。

 拝啓

 岡田武史様

 浦和の闘莉王をA代表に招集してはどうでしょうか?

 今さらとお思いでしょうが、DFとしてではありません。3戦連続出場しているボランチとしてでもありません。自信を持って「FW枠」で推薦します。

 5日の磐田戦、0-1で迎えた後半19分、FW高原とMF梅崎がいなくなると、攻撃の最前線で体を張り続けました。ここだけの話、エンゲルス監督からは「1・5列目」と指示を受けたのですが、「簡単に体を張って、できるだけ前を向いている選手にいいボールを出したかった」と、完全にFWになりきっていました。ロングボールにはことごとく競り勝ち、リズムを作りました。

 即効性も抜群です。布陣を変えた7分後の同26分には、MF阿部の同点弾を頭でおぜん立て。その8分後には自ら飛び込んで、再び頭で逆転しました。わずか15分で2得点を生んだのです。パワープレーにはこの男しかいません。

 仁義を守る熱い男です。監督との信頼関係は得点後のエンゲルス監督との熱い抱擁を見れば一目瞭然(りょうぜん)だと思いますが「ゲルトさん(エンゲルス監督)の勇気に応えないといけない」と、リスクの高い戦術を指示しながら、信頼してくれた指揮官には全力で応えます。選手・サポーターからは絶大な信頼を受けています。逆転弾をアシストした平川は「闘莉王しか見えていなかった。間違いなく勝つから」。試合後はスタンドから「闘莉王コール」が巻き起こりました。

 岡田さんが以前に指揮を執られた、98年W杯フランス大会時に10番を背負った磐田MF名波に「闘莉王1人にやられた」と言わしめ、現正GK川口をして「個人の力でやられた」と脱帽させました。得点力に悩む岡田ジャパンに、間違いなく力になるでしょう。【浦和担当=栗田成芳】