J2C大阪のMF香川真司(19)が、平成生まれで初めてA代表に選ばれた。日本協会は17日、国内合宿(21~23日)に参加する日本代表候補28人を発表。ロンドン五輪世代の香川はU-23日本代表のアンゴラ戦(3月)での活躍が認められ、岡田武史監督(51)から指名を受けた。3階級特進のファンタジスタが、6月にW杯アジア3次予選4試合を控えるA代表の秘密兵器になる。初選出はDF寺田周平(32)ら4人となった。

 平成生まれの香川がA代表でも本気モードで勝負する。「時の人では終わりたくない。選ばれたからには何かを残して帰ってきたい」ときっぱり言った。既にA代表にリストアップされていたが、この日の練習後に寮で昼寝中、吉報を伝え聞いた。「信じられへん。高原さんや中沢さんと何を話したらええんかな?」と初々しかったが「いつも通りのプレーして、アピールしたい」と誓った。

 岡田監督を一目ぼれさせた。飛び級でU-23日本代表のアンゴラ戦に出場。鋭いドリブル、意表を突くパス、献身的なフリーランニング…。すべてのプレーが視察した指揮官の心に響いた。香川の選出理由に関して「手元に呼んでみたかった。(A代表に)刺激を与えるためにも、本人に自覚を持ってもらうためにも選んだ」と説明。「騒がれ方に注意してほしい」と報道陣に異例のお願いをする親心もみせたのは、期待の大きさの表れだった。

 中学1年から生まれ育った神戸を離れ、仙台市のFCみやぎバルセロナに入団。「A代表に入るために仙台に来た」と周囲に宣言した。中学2年の時、九州で開催の国際大会のメンバーに選出された。だが、少し浮かれた様子を当時の指導者に見抜かれ、九州行きの航空券をビリビリと破られ激怒されたこともある。それ以来「最終目標はA代表。常に謙虚で、すべてはA代表への通過点」と考えるようになった。

 「合宿に呼ばれただけ。ここからが本当の勝負」と言い聞かせた。日本代表の中盤にはMF中村憲ら技術の高い選手は多くいる。今回はACL優先となったG大阪MF遠藤や海外組のセルティックMF中村俊も、いずれは超えなければならない存在だ。「J2でやってきたことを岡田監督に見せたい。背伸びせずにいつも通りのプレーをする」。平成生まれのファンタジスタが、夢のW杯出場への第1歩を踏む。【奈島宏樹】