これからは特別扱いしない !!

 日本代表の岡田武史監督(51)が21日、千葉県内で始まった候補合宿初日にほえた。FW高原直泰(28)DF中沢佑二(30)MF鈴木啓太(26)ら主力が相次いで参加を辞退。理由が負傷であっても同監督は「今回はチャンスがなかったわけだから、Jリーグでアピールするしかない」と突き放した。特に、東アジア選手権を免除されるなど「優遇」されてきた高原は、一気に微妙な立場に追い込まれそうだ。

 笑みをたたえながらも、口から発せられた言葉は厳しかった。岡田監督は合宿の目的を(1)コンセプトの確認(2)選手選考と言ったうえで、不参加が選考のうえで大きなマイナスになると力を込めた。

 岡田監督

 来られなかったメンバーは、このチャンスがなかったわけだから。Jでアピールするだけ。知ってる選手も、Jでどれだけやれるか。キリン杯前の合宿は、ぶっつけ本番になる。来てない選手は、それくらいチャンスが少ない。

 名指しこそ避けたが、この日になって参加を辞退した高原(右ひざ内側じん帯損傷)中沢(右太もも筋挫傷)鈴木(発熱)に対しての言葉であることは明らかだった。中でも高原は、1月の指宿合宿で不調を訴えた際は練習を免除され、東アジア選手権の参加も見送られた。にもかかわらずバーレーン戦は右太もも痛で欠場し、浦和でも不発が続くどん底状態。さらに合宿も不参加という現状に対し、「最後通告」にも等しい厳しい宣告だった。

 3月26日のW杯アジア3次予選バーレーン戦に敗退し、岡田監督が「これからはオレのやり方でやっていく」と宣言して迎えた初の合宿。ただし、辞退者のほかアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に出場中の鹿島、G大阪勢と欧州組を含め、主力級が10人以上も合宿に参加していない。練習前には初顔が多いこともあり、1月の指宿合宿時と同じ基本コンセプトを再確認し、練習でも新しいメニューはなし。初日から「オレ流」が頓挫した感は否めない。

 唯一、岡田監督が見いだした光明こそ意欲十分の新戦力と、それに対する常連メンバーの危機感だ。「緊張感はあるし、新しい選手は積極的で刺激になっている」。3次予選正念場の6月まで緊張感を保っていくには、実績ある選手であっても特別扱いしている場合ではない。主力の「オレ流」は認めない姿勢を、岡田監督ははっきりと打ち出した。【村上幸将】