FW大黒将志(28=東京V)が「ポスト大久保争い」で頭1つ抜け出した。9月からのW杯アジア最終予選を見据えた日本代表候補合宿が28日、千葉県内でスタート。06年6月のW杯ドイツ大会以来約2年1カ月ぶりに代表復帰した大黒が軽快な動きで、岡田武史監督(51)に絶賛された。9月6日の同予選初戦バーレーン戦はエースFW大久保嘉人(26)が出場停止。宿舎に一番乗りした気合十分の大黒が、岡田ジャパンの救世主に名乗りを上げた。

 ジーコジャパンでの動きをほうふつとさせた。約2年1カ月ぶりの代表で、大黒はイキイキと走り回った。ピッチ半分のミニゲームでは、絶妙の位置取りでパスを受けると、好パスを連発。スペースへ走り込む動きも効果的だった。パスの出し手と受け手の2役を高いレベルでこなした。岡田監督は思わず「大黒、グーッド!」と叫んだ。

 大黒

 久しぶりの代表だけど、知ってる選手も多くてスムーズに入れた。くさびのボールを受けたり、ポゼッションを意識した。

 今年6月まで在籍したセリエAのトリノでは、2年間で無得点だった。昨季は公式戦出場わずか4試合。新天地の東京Vでも4試合で計180分間しか出ておらず、J復帰ゴールもまだ。だからこそ、岡田監督も「長いこと試合をやってないから、実戦勘がないかと思ってた。ボールを引き出すタイミングなんか、うれしいビックリ。よかった」と喜んだ。

 9月6日のW杯アジア最終予選では大久保が出場停止でいない。バーレーンには3月のアジア3次予選で0-1で完封負けし、6月の再戦でも終了直前にDF内田のゴールで辛勝した。今回の合宿はFWの新戦力発掘が最大のテーマだ。

 大黒は「最終予選は厳しい戦いになる。選ばれるように頑張るだけ」と意気込んだ。この日は宿舎に午後4時集合のところ、2時間15分前も前の1時45分には現れた。もちろん一番乗りで、今回の合宿への気合をうかがわせた。札幌に在籍した01年には岡田監督のもとでプレー。出場は公式戦6試合だけだったが、練習の大切さを教えられ、その後の飛躍につながった。

 10年W杯に向け、最終予選の初戦は落とせない。日本のピンチを救うべく、大黒が恩師に再びアピールを開始した。【北村泰彦】