浦和のユースとジュニアユースでフィジカルコーチを務める池田誠剛氏(48)が、U-20(20歳以下)韓国代表のコーチに就任することが22日、分かった。韓国協会と浦和の交渉で基本合意に達した。9月開幕のU-20(20歳以下)W杯エジプト大会までの契約で、近日中に正式発表される。池田氏は科学トレーニングを導入した先駆者。過去に韓国代表チームに日本人指導者が加わったことはなく、史上初の歴史的な人事となる。

 日本の優秀なフィジカルコーチが、長年のライバル韓国代表に招聘(しょうへい)される。池田氏は市原(現千葉)や横浜のトップチームなどを経て、07年11月~08年3月までは、Kリーグ史上初の日本人コーチとして釜山で指導した。14年W杯に向けて若い世代の強化に力を入れる韓国協会も指導力を高く評価し、今月上旬に浦和側へ正式オファー。同11日には、U-20代表の洪明甫監督が来日して直接交渉し、このほど基本合意した。

 池田氏は、選手の肉体強化とコンディショニング調整に科学トレーニングを導入した先駆者。横浜時代にはMF中村俊やGK川口、DF中沢をはじめ、当時韓国代表だったFW安貞桓、DF柳想鉄も指導している。昨年4月からは浦和のアカデミー(下部組織)でユースとジュニアユースのコーチを兼任。18歳でA代表に初選出されたMF山田直やFW原口ら今季入団で即戦力となった新人選手の育成も手がけた。

 池田氏は、今後も浦和のアカデミーに在籍しながらU-20代表の活動に従事し、代表期間以外は帰国して浦和で引き続き、下部組織を指導する。現在、韓国協会とクラブ側で条件面などの詳細を煮詰めており、早ければ今月下旬にも渡韓して代表合宿に合流。日本が出場権を逃した9月開幕のU-20W杯本大会にも、代表コーチとして帯同する。

 アジア屈指の強靱(きょうじん)さを誇る韓国代表に、長年、フィジカル面が弱点とされてきた日本サッカー界からコーチを“輸出”することになる。韓国サッカーのさらなるレベルアップは、日本にとっても刺激になり、相乗効果を期待できそうだ。