<国際親善試合:U20日本代表2-1U20韓国代表>◇19日◇韓国・昌原

 【昌原(韓国)=今井恵太】U-20(20歳以下)日本代表のMF山田直輝(19=浦和)が、日本代表復帰へ猛アピールした。岡田武史監督(53)が見守る中、後半12分から出場して2ゴールを挙げ、2-1の逆転勝ちの原動力となった。5月の日本代表デビュー以降はケガに苦しんでいたが、日本代表が若手中心のメンバー編成となる、来年1月6日のアジア杯予選イエメン戦(サヌア)に向けて存在感を示した。

 サムライブルーに身を包んだ山田が帰ってきた。1-1で迎えた後半43分、ゴール前にスルリと抜けだすと、前に出てきたGKに動じることなく、右足でゴールに流し込んだ。今回のメンバーは、日本代表が若手中心で臨む来年1月6日のアジア杯予選イエメン戦のメンバーに選ばれる可能性もあるだけに「サッカーをやっているうちは、やっぱりA代表を目指しているので、選ばれるように頑張りたい」と、力強く言い切った。

 観戦した岡田監督は、試合前のロッカールームで「この中からイエメン戦(のメンバーに)に選ぶこともある」とハッパをかけていた。序盤から韓国の勢いにのまれたような展開が続いたが、山田の途中出場を境に流れが変わった。岡田監督は「持ち味を、ものすごく出してくれた。彼が入ってリズムが出た」と、逆転勝利の立役者をたたえた。

 山田は5月のキリン杯と、W杯アジア最終予選を戦う日本代表メンバーに選出された。同27日のキリン杯チリ戦(長居)では歴代4番目の年少記録となる18歳327日でAマッチ初出場を果たし、後半ロスタイムにアシストを決めた。だが、右臀部(でんぶ)の肉離れで離脱。「まずはチーム(浦和)で結果を出してから」と復活を期したが、その後もケガ続きで代表はおろか、浦和でも満足に試合に出場できない日々が続いた。

 9日に浦和の今季練習は終了したが、その後もイベントなどが多忙で、満足に練習もできておらず、試合勘も万全とはいえなかった。それでもきっちりと結果を出し「ミスばっかりでチームに迷惑をかけたけど、得点という形でチームに貢献できてよかった」と笑顔を見せた。

 岡田監督は試合後、「何人か特長を出してくれた。(イエメンに)何人か連れて行こうと思う」と話した。98年フランス大会では、当時18歳だったMF小野らプロ入り間もない若手を抜てきした例もある。山田ら若手もイエメン戦次第では、W杯本大会への道も一気に開けてくるはずだ。5月の代表選出時、岡田監督が「彼が動きだすと、みんなが動きだす。攻撃のスイッチを入れる選手」と、高く評価した19歳が、南アフリカへ向け、自らのスイッチを再び入れた。