日本サッカー協会が、W杯南アフリカ大会後の日本代表監督候補に、“超大物”をずらりとリストアップしていることが22日、分かった。岡田武史監督(53)の後任候補の1人として、元アルゼンチン代表監督のホセ・ペケルマン氏(60)の調査を始めていることが判明したばかりだが、04-05シーズンに欧州CLを制したリバプールのラファエル・ベニテス監督(50)と、04年アテネ五輪でアルゼンチン代表を優勝に導いたマルセロ・ビエルサ(54=現チリ代表監督)もリストに加えていたことが判明した。

 ペケルマン氏がワールドユース選手権(20歳以下)を3度制したタイトルホルダーなら、ベニテス監督は欧州CL優勝、そしてビエルサ氏は五輪金メダル指揮官。まばゆいばかりのタイトルを持つ指揮官3人を、日本協会は岡田監督の後任候補としてリストアップしていた。

 この日、原博実強化担当技術委員長は、ペケルマン氏について「いい人だと思う。2001年から知っている。こういう人が代表監督に来たらいいなと思ったのは事実。去年までメキシコでやっていて、今は空いているし」と好印象を明かした。すでにペケルマン氏自身も日本協会が代表監督候補に考えていることを把握している。今後の交渉はペケルマン氏がどこのオファーを優先するかや、他の候補との兼ね合いなど、状況により刻々と変化する。

 大物相手だけに、日本協会は常に「大枠」のリストの中に、他のいくつかの選択肢を持っている。そこにベニテス氏とビエルサ氏という、世界的な名将が名を連ねていた。

 リバプール監督のベニテス氏は、組織力重視のプレッシングサッカーを仕掛ける。バレンシアを率いてスペインリーグを2度制し、03-04シーズンはUEFA杯(現欧州リーグ)も優勝した。今季限りでリバプールを退団する可能性が高く、交渉の余地はある。

 アルゼンチン代表監督として02年W杯にも出場しているビエルサ氏は、チリ代表監督として今回のW杯に出場する。2度の日本代表戦を通じて、日本の力も把握している。岡田監督もビエルサのサッカーにあこがれており「いつかはビエルサのサッカーをやってみたい」と、発言したこともあった。

 3者ともに優劣をつけられない世界的な実績と実力を備えている。原強化担当技術委員長は「日本のことに興味があるかどうか、日本のスタイルに興味があるかどうか、常に優秀な監督の情報を集めている」と言った。そしてこう付け加えた。「やたらな出会いで、中途半端な人を呼ぶことはしたくない。本当にいい監督は必ずいる」。本物を招聘(しょうへい)するため、日本協会は妥協なくトップレベルを目指している。